ずっとそこにいたくなるような香りはじめてきた日もわたしは本を読んでいた

昔、昔だが、昔、苺の香水をつけていたことがあった。誰かからもらったんだとおもう。苺の香水つけてみたら、って。え、苺? 苺の香水つけたらますますわけわかんないとこいくんじゃないかな苺のせいで、とわたしはおもったようなきがする。

でも、そういう時期がじんせいにあってもおもしろいのかもね、みんなが苺できょろきょろするなかしらっとしらないかおで苺の香水をつけていて。

でもなあ、と、今、おもう。それでも、あのころ、じぶんはなにをかんがえていたのかなあ、と。苺の香水をつけてどこにいこうとしていたんだろう。

というか、苺の香水をつけたひとはどこにいけるんですか? どこまでいけるんですか? じっと本を読んでたりしないんですか? 車は運転できるんですか? バーとかに行けるんですか? どこまでいけんですか?

かつての苺ももううしなって、いまいるとこからいま書いたこと。

この記事を書いた人
yagimotoyasufuku
柳本々々(やぎもと・もともと)1982年、新潟県生まれ 川柳作家
安福 望(やすふく・のぞみ)1981年、兵庫県生まれ イラストレーター