「おわりにしなくちゃいけないことがおわりになった」
ひきこもってたころに、ずーっとミステリーを読んでいたのだが(せっかく密室にいるんだから、密室に関係した本をよもうとおもって)、こんなことを思ったことがある。
完璧な密室というのはなくて、密室はかならずどこかで外部に漏れ出している、だから、どんな密室にじぶんがいようともかならずその密室は(よい密室であれ、わるい密室であれ)、破綻するのではないかということ。
わたしは、島田荘司さんを読んでも、綾辻行人さんを読んでも、竹本健治さんを読んでも、京極夏彦さんを読んでも、森博嗣さんを読んでも、そうおもった。
ときどき、泣きながら、そうおもった。
ほんとうにひとはひきこもることができるのだろうか。ぜったいにどこかに外へ抜け出す穴をひとはかかえざるをえないのではないだろうか。
わたしはミステリーからそれをまなんだようなきがする。そしてそれはわたしにとってとっても大事なことになった。
わすれないとおもう。そういうことをおしえてくれた、密室の死体たちのことを。ちゃんとひきこもること、ひきこもりきれないことをおしえてくれた、死者たちのことを。