ムーミン谷と霧でつながっている

ムーミン谷ってそう遠くないんじゃないかなあとおもうこともある。ムーミン谷には雪が降り、雪が降ればムーミンたちは冬眠してしまうが、その雪はわたしたちの国にも降る。バスからみる雪景色とムーミン谷の雪景色はそうとおくないんじゃないかとおもうこともある。

大学院のころ、ひとり、資料館に通わなくてはいけない用があって、そのときなんだかほんとうによくムーミン谷のほんを読んだ。ムーミン谷のひとたちはねてもさめてもみなひとりひとりとして生きていた。みんなでいるなかのひとりとして生きる。それが、あの谷のポリシーだったんじゃないかとおもう。

霧のなか、谷のひとたちは、遠くに旅をしまだ帰ってこないムーミン一家のことを思い続ける。あしたも変わらないじぶんがくるだろう。でもそうおもいながら明日へむけてねむりこむじぶんには希望があるだろう。あした家族は帰ってくるだろう。そうして今までとはちがったなにかが、ちょっとした変化が訪れるかもしれない。冬がちかづいている。

一時期、あの谷で暮らしていたこと。

この記事を書いた人
yagimotoyasufuku
柳本々々(やぎもと・もともと)1982年、新潟県生まれ 川柳作家
安福 望(やすふく・のぞみ)1981年、兵庫県生まれ イラストレーター