大切なものはエデンに置いてきた

ヴィントンの『マーク・トゥエインの冒険』というクレイ・アニメーションの映画が好きで、元気のないときはよくみている。

マーク・トゥエインの小説がちりばめられたアニメになっているがそのなかでも「アダムとイブの日記」が好きで、現代人の感覚をもったアダムとイブの出会いから、恋愛、エデンの園を追われてのふたりの暮らし、価値観の違い、夫婦になってからの愛、家族の暮らし、相手が去るまで、が描かれている。

イブの去った地でアダムは日記を書き続けてる。アダムは書き記す。彼女のいた場所がエデンの園だった、と。永遠の命の場所だったエデンの園は、イブへの愛という有限の命から描き直される。アダムの頭上ではハート型の葉っぱが風に揺れていて、やがてアダムも死を手に入れた人間として去っていく。

この記事を書いた人
yagimotoyasufuku
柳本々々(やぎもと・もともと)1982年、新潟県生まれ 川柳作家
安福 望(やすふく・のぞみ)1981年、兵庫県生まれ イラストレーター