
わたしはしあわせですっていってみろ
すごく、とっても、かんたんな文が、文学になるしゅんかんがあったらいい。
木がある。かれはまだこない。ふたりだけ。あなたが「わたしはしあわせですっていってみろ」とわたしにいう。わたしは「わたしはしあわせです」という。あなたは「会いたかった」という。わたしたちはだきあう。わたしは「わたしはあんまり会いたくなかった」という。「でもまたおれたちここにいるだろ」とかれがいう。「また会えたんだ、おれたち」「なにをしたらいいの?」「わからない」
あなたはときどき臭う。かれはまだ来ない。わたしたちは待っている。わたしはきのう土のうえでねむった。ときどきこのあたりは火のにおいがする。
![春陽堂書店|明治11年創業の出版社[江戸川乱歩・坂口安吾・種田山頭火など]](http://shunyodo.xsrv.jp/blog/wp-content/uploads/2018/04/shunyodo_logo_180325_CS4.jpg)
