ふとんの中に霧がある感じがする

ふとんのいちばんふかいばしょってどこなんだろう。

日比谷公園をあるいていたら、膝のうえに抱っこして乗せられている女のひとと眼が合う。膝のうえでも、とっても深い場所があるだろう。ふとんの奥にもとっても深い崖のような場所があるだろう。

ふとんの中にある断崖絶壁。

むかし、安福さんとギャラリートークをしたら、数人のオーディエンスのひとたちが、このひとだいじょうぶかな、という眼で見ていた。そのときのその椅子もとっても深かった。ふかいところばかりのこの世界であきらめもせずまだ生きている。

この記事を書いた人
yagimotoyasufuku
柳本々々(やぎもと・もともと)1982年、新潟県生まれ 川柳作家
安福 望(やすふく・のぞみ)1981年、兵庫県生まれ イラストレーター