かぼちゃふりまわすぞ袋入れたまま
むかし、女の子からベランダに鍵をかけられ締め出されたことがあって、え、どうしよう、四階だし、最悪、飢餓状態になるじゃん、とおもったりした。女の子は帰ってしまう。わたしはなんにももっていなくて、あるものと言えば、巨大な洗濯機だけだった。もうひとつ、オリロー避難はしごもあった。そのふたつがあるだけだった。
あとは今まで読んできた本の記憶があった。その記憶をひきだしながら、時間をゆたかにさせていった。世之介の記憶、風と愛の記憶、人間復活の記憶、また会えるなんての記憶。ぜんぶ、本に書いてあった記憶だ。
四階で青空をみながら、遠くのタワーをみながら、どんどん空想をたくましくしていく。わたしはあかるいふくろをもっている。