こんどこそこっちにこいよキリンの目
むかし、上野動物園にデートにいったときに、やぎもとくんはいつもこんなかんじなの? ときかれたことがある。
目の前ではアメリカバイソンがうんちをふりまいていて、なにかのメッセージのようにも見えた。どうなってるんだろう。
そのころはともかく睡眠時間がなくて、どこでも立ったままねむっていた。駅でも、公園でも、でんしゃでも、ホテルのロビーでも、木のしたでも。「どこでもねむれるわけじゃなくて、いつもねむたいんだよ」とわたしは言った。「なんにもたりない」
風とともになまぐさいかおりが運ばれてくる。「ペンギンだね。ペンギンにちかづいている」とそのひとはわかりきったことをいう。あるいていた。