「ねむいしね、おへそがかゆいね。きのうくらいからおへそがかゆいね」

なんかこう、なんていうか、なんていえばいいのか、あいてがなにげなくじぶんに言ってきたひとことが、うーん、なんだかあなたのそのひとことって川柳なんじゃないの? とおもうしゅんかんがある。

でもそんなのは狂気かもしれない。〈それって川柳なんじゃないの?〉というのは狂気かもしれない。

でも、そうおもえてしかたないことがある。岩松了さんがかつてこんなことを言っていた。表現というのは、世界中のにんげんが「このポストは青い」と思っても、それでも「このポストは赤いんですよ」と言い張ることだと。

川柳のことをなにもしらず、読んだこともつくったこともないのに、川柳をつくってしまったひとがいたら、どうしよう。そのとき、おおきなたも網をわたしがぶんとふりまわして、それを川柳として掬ってしまったらどうしよう。

よくそんなことをかんがえる。

この記事を書いた人
yagimotoyasufuku
柳本々々(やぎもと・もともと)1982年、新潟県生まれ 川柳作家
安福 望(やすふく・のぞみ)1981年、兵庫県生まれ イラストレーター