メロンパン野原のふたり 感じがいいね

年末、部屋のなかに食べ物がないかあちこちさがす。クッキー缶があって、クッキーを少しずつ食べながら年末を過ごす。クッキーをたべたあと、髪をとかした。

電話をすると、「去年は高熱をだして寝てたでしょう」と言う。じぶんはもうしぬかもしれない、っていってたって。でもきゅうにふっと明るくなって、ちがう風をかんじたって。

そう、とわたしは言う。

年が明けて、ベランダにでてみる。いつかの今日にふたりで野原をあるいていたことがあったっけ。だれかが火を焚いていて、たちどまってゆれる火をみていた。ちょっと歩けばわすれそうな火だった。

「行こう」と言われて、もう、あるきだす。

この記事を書いた人
yagimotoyasufuku
柳本々々(やぎもと・もともと)1982年、新潟県生まれ 川柳作家
安福 望(やすふく・のぞみ)1981年、兵庫県生まれ イラストレーター