「おめでとうございます」とさいごまでいえる

おたがい、いきてここまでこられて、よかったなあって、おもう。ほんとうにそれだけの、それでぜんぶのときがある。ことばはなんにもいらなくて。なんかだまってても、こたつでぼんやりしてても、なんとなくそれがわかって。テレビを観るひつようも、本を読む必要もなくて。おいしいものをたべたり、おもしろいことをするひつようもなくて。
ただぼんやりここにいることが、よかったなあと、ほんとうにただそれだけをおもって、そうしておたがいになんとなくそれがわかって、きっと外をあるいてるひとにもそれがわかって。そうやって、かわらない、わからないなかで、きょうから、なんでも、なにをしても、2019になってゆく。うけいれられる。なんにもしなくていい日のまんなかで。

この記事を書いた人
yagimotoyasufuku
柳本々々(やぎもと・もともと)1982年、新潟県生まれ 川柳作家
安福 望(やすふく・のぞみ)1981年、兵庫県生まれ イラストレーター