バレンタインだんだんこわくなるふたり

むかしはよく「ひとり」ってなんだろう、この「ひとり」がどこまでもずーっと続いていくんだろうか、とかんがえていた。

いまでもひとりだけれど、さいきんはよく「ふたり」ってなんだろうとかんがえている。なんとなく、ひとりで生きてるわけでもないんだなということがわかってきて。

でも、ふたり、ってなんだろう。ふたりしか入れない部屋を、わたしやだれかが出たり入ったりする。ときどき、「そうだね」というし、ときどき、「なんなの」という。なんでもないことばがとびかうなかで、だんだんふたりでいることが、こわくなってくる。

この記事を書いた人
yagimotoyasufuku
柳本々々(やぎもと・もともと)1982年、新潟県生まれ 川柳作家
安福 望(やすふく・のぞみ)1981年、兵庫県生まれ イラストレーター