クリーム色の釦を捜すふしぎな夜

バスのなかでユニコーンのチャームをたくさんつけてねむってるひとの話をきいた。ゆめが漏れだしているようなかんじでねむっていたという。眠りながらユニコーンをひきつれて走っている。そういう話を電話できいた。ありがとう、と言って電話をきる。こころにのこる話だったよ。

そとにでたら、もう春だよ知ってた、というかんじの風が吹いている。あの、いろんな花の粉がまじったような、つめたさのおくにあたたかさがあるような、風が。

いろんなひとと出会いすぎたり別れすぎたりしてここまで来ている。それをいいあらわすことばがないまま、いま、この春にいる。

この記事を書いた人
yagimotoyasufuku
柳本々々(やぎもと・もともと)1982年、新潟県生まれ 川柳作家
安福 望(やすふく・のぞみ)1981年、兵庫県生まれ イラストレーター