ふとんから離れたときに見る桜

冬、上野・東京都美術館のムンク展に行った。有名な「叫び」よりも、ひとつのかたまりのように抱擁しあう男女の絵がきになった。ふたりは、これから百年も、二百年も、かたまりとなって、抱き合いつづける。いろんな目にさらされて。

ながいあいだ、ふとんにいたことがあったけれど、ふとんから出たら桜が咲いていたことがあった。ふとんからでると桜だなあとおもった。ムンクの男女のようにさくらもなんどもなんどもやってくる。

ムンクは桜をみたことがあっただろうか。

この記事を書いた人
yagimotoyasufuku
柳本々々(やぎもと・もともと)1982年、新潟県生まれ 川柳作家
安福 望(やすふく・のぞみ)1981年、兵庫県生まれ イラストレーター