お花畑のあちこちにこれからのあたま

川柳ってなんだろうってときどき考える。川柳の秘密に「好き」ということばがあるようなきがする。川柳って好きっていえちゃうせかいだから。

  君が好き青や緑も好きになる  竹井紫乙

              (句集『ひよこ』)

俳句とちがって川柳は好きなものにはちゃんと好きだと言ってしまう。これはひとつの大きな特徴だとおもう。なにかを好きな私を肯定してしまうこと。私は君のことが好きだし、君が好きな青や緑も好きだよ、と自分を受け入れられること。川柳にはこうした「好き」の風景がある。

  化け物に名前をつけて可愛がる  竹井紫乙

そんなふうに肯定していくことが川柳の特徴だとしたら、「化け物」でさえ「名前をつけて可愛がる」ことも川柳の特徴になる。私があなたを好きだっていいでしょう、もあるし、あなたが化け物だっていいじゃないの、も川柳だ。川柳は肯定の世界なんだ。

この記事を書いた人
yagimotoyasufuku
柳本々々(やぎもと・もともと)1982年、新潟県生まれ 川柳作家
安福 望(やすふく・のぞみ)1981年、兵庫県生まれ イラストレーター