風船付きの最後の最初に出会ったひと

手塚治虫のマンガ『ブラック・ジャック』には、人生の列車がでてくる。その列車には、いままでブラック・ジャックが出会ったひとびとが客として乗車している。ピノコもドクター・キリコも師の本間先生もいる。人生の列車の最後にブラック・ジャックは誰に出会ったか今、思い出せない。

あとから振り返って、あれが、最後の最初だったんだなあ、と思い返すことがある。あなたがこのファイナル・ステージのはじまりに立っていたひとだったんですね、と。なんどもなんども人生の段階に応じていろんなファイナル・ステージがちょこちょこくるので、わたしたちはそのたびに最後の最初のひとに出会うだろう。もしそのひとを思い出すことができたんなら、風船をもたせたい。かんしゃとして。

この記事を書いた人
yagimotoyasufuku
柳本々々(やぎもと・もともと)1982年、新潟県生まれ 川柳作家
安福 望(やすふく・のぞみ)1981年、兵庫県生まれ イラストレーター