「光ったよ」「光らなかった」春の海
エリック・ロメールの『緑の光線』という映画が好きで、昔見たきりでそんなに何回も見ていないのによく思い出している。バカンス中の独り身の女のひとがずっとうろうろしている。なにも起こらないし、なにかが起こりそうもない。
でもかのじょはさいごにたまたま出会った文学青年と海にうまれる特別な光をちょっとだけ見る。
だからといって彼女がこれからしあわせになるかどうかはわからないけれど、でも世界にはそういう映画があって、ときどき思い出している。ほんのちょっとのことがたすけになるように。