春の夜Kがお城にたどり着く

カフカの『審判』にこんな一文があったと思う。

「そういえば愛している」

カフカにとって愛はぜったいではない。そういえば、と思い出すようなものだ。でも、それは、愛している、と言い切れるほどつよい。あいまいで、ふたしかで、それでも水路のようにつづいていた愛。

不思議な春の夜にはKもお城にたどりつく。

この記事を書いた人
yagimotoyasufuku
柳本々々(やぎもと・もともと)1982年、新潟県生まれ 川柳作家
安福 望(やすふく・のぞみ)1981年、兵庫県生まれ イラストレーター