洞窟にちいさなことば置いてくる

前に出てひとこと話せといわれたときひとはどんなことを話すんだろう。それまで生きてきたことをいかせるだろうか。それともなんにも話せず、気の利いたことも言えず、とてもちいさく終わってしまうだろうか。でもそのちいささを誰かがうけとることもあるだろうか。あのふしぎなちいささはなんだろう。おおきなひかりじゃなく、わたしのちいささしかそこになくて。

そういう使命のようなものがひとにはときどきあるのではないか。やれ、と。おまえのことは今はいいから。

この記事を書いた人
yagimotoyasufuku
柳本々々(やぎもと・もともと)1982年、新潟県生まれ 川柳作家
安福 望(やすふく・のぞみ)1981年、兵庫県生まれ イラストレーター