当ててはねむるだけの日々

七月一日はあずきバーの日だということで、街であずきバーが無料で配られていた。もらったひとたちはチェーンの仕切られたところに案内されて食べることになっていて、ひとも多いのでたくさんのひとがひしめきあいにぎりしめあいチェーンのなかでただただひたすらあずきバーをたべている、あずき率が高い一帯になっていた。チェーンのすこしそとでは、ベビーカーをおすひとがゆったりと歩いていて、チェーンのなかのあずきに専心するわたしたちをときどきみたりみなかったりしている。たべおえたひとから、ぱっと、チェーンの外にぬけていく。

チェーンのなかにおしこめられた休日のやくそくや愛やけだるさやへいわや幸福のなかで、ぜんぶの口が、いま、あずきにしゅうちゅうする。ひとがつくるしかなかった高いビルとビルのあいまから陽がさしてきて、いっせいにあずきバーをたべつづけるひとびとを照らし始める。


『バームクーヘンでわたしは眠った もともとの川柳日記』(春陽堂書店)柳本々々(句と文)・安福 望(イラスト)
2018年5月から1年間、毎日更新した連載『今日のもともと予報 ことばの風吹く』の中から、104句を厳選。
ソフトカバーつきのコデックス装で、本が開きやすく見開きのイラストページも堪能できます!
この記事を書いた人
yagimotoyasufuku
柳本々々(やぎもと・もともと)
 1982年、新潟県生まれ 川柳作家 第57回現代詩手帖賞受賞
安福 望(やすふく・のぞみ)
 1981年、兵庫県生まれ イラストレーター