週刊もともと予報
－ことばの風吹く－ ／ 8月14日

きつねうどんうどんどんどんいきのびる

めがさめると二人は結婚していて、世界は少し変わっていた。ふたりの結婚に、へーと思った。わたしにとっては、だいじなへーだ。

もしなにか生きていることにひみつがあるとするのなら、それは生きているひとにだけ、すごいことやハッピーなことが起こるってことじゃないだろうか。生き延びたひとだけにやってくる特典のようなもの。

　　海沿いできみと花火を待ちながら生き延び方について話した　　平岡直子
　 （『桜前線開架宣言』所収）

今このここのこんなばしょにそんなかおであなたがいたとしても、生き延びてきたことのひみつのようなものがわたしにもあなたにも彼女にも彼にもあって。解かれたことのないなぞなぞのように、わたしたちは、まだ、いきのびる。

『バームクーヘンでわたしは眠った　もともとの川柳日記』（春陽堂書店）柳本々々(句と文)・安福　望(イラスト)

2018年5月から1年間、毎日更新した連載『今日のもともと予報　ことばの風吹く』の中から、104句を厳選。
ソフトカバーつきのコデックス装で、本が開きやすく見開きのイラストページも堪能できます！