週刊もともと予報
－ことばの風吹く－ ／ 10月30日

超ハッピーエンド　まってまってまって　にゃあ

まってまってまって、というたしかな声を夢のなかで聞いた。

学校や会社から逃げても書くことがあるかもしれないが、書くことから逃げたひとはどこにゆくんだろう。ときどき、そんなことをおもう。

ねてもさめても、まってまってまって、と声がすることがある。キンモクセイのにおいがあたりにたちこめていて、わたしはお寿司を食べたばかりで、新しい服を買ったばかりで、それなのに過去のひとばかり思い出している。

しんでから、あのひとってけんきょなひとだったね、とりあえず、っていわれることもあるだろうか。墓に書いてある。けんきょ、と。

『バームクーヘンでわたしは眠った　もともとの川柳日記』（春陽堂書店）柳本々々(句と文)・安福　望(イラスト)

2018年5月から1年間、毎日更新した連載『今日のもともと予報　ことばの風吹く』の中から、104句を厳選。
ソフトカバーつきのコデックス装で、本が開きやすく見開きのイラストページも堪能できます！