くまたちと終わりにいるのふしぎだね

『スター・ウォーズ ジェダイの帰還』で、さいご、みんなでくまたちとダンスしておわるのふしぎだね、と言っていたひとがいた。なんで、うちゅうの話なのに、星の話だったはずなのに、夜の火のあかるい森で、ちっちゃなくまたちとダンスするんだろう。みんなで、ひとも熊もロボットも、みんなで手をとりあって、歌って、踊って、おわるんだろう。ふしぎだね。やぎもとくん、それ、ふしぎだよね。と言われて、たしかになあ、と思った。ちきゅうのおわりってあんなかんじなのかね、森にいきてるひとたちが集まって、でもみんな生き延びられたことを抱き合ってよろこびあって、夜のふかい場所にはたくさんの星が降ってて、光が流れ込んできて、再会の喜びがあって。星の話や森の話、人や熊の話、そういう話をわたしは聞いた。


『バームクーヘンでわたしは眠った もともとの川柳日記』(春陽堂書店)柳本々々(句と文)・安福 望(イラスト)
2018年5月から1年間、毎日更新した連載『今日のもともと予報 ことばの風吹く』の中から、104句を厳選。
ソフトカバーつきのコデックス装で、本が開きやすく見開きのイラストページも堪能できます!
この記事を書いた人
yagimotoyasufuku
柳本々々(やぎもと・もともと)
 1982年、新潟県生まれ 川柳作家 第57回現代詩手帖賞受賞
安福 望(やすふく・のぞみ)
 1981年、兵庫県生まれ イラストレーター