うしなった火はあなたがもっていればいい

いま、紀伊國屋書店新宿本店でしていただいている柳本々々選書フェア「もともとの素(もと)」に行ってきた。ざせつするたびに読み直し、もう読み過ぎてぼろぼろにしていた、『現代詩文庫 高橋順子詩集』とブローティガンの『西瓜糖の日々』を、もういちど、買った。じんせいでわたしにゆうきをくれたほんがならんでいる。勇気の本棚だった。レイモンド・カーヴァーやフランツ・カフカ、サミュエル・ベケット、リチャード・ブローティガン、高橋順子、内田百閒、川上弘美、村上春樹、高野文子、杉浦日向子、小池正博。

  たてがみを失ってからまた逢おう  小池正博
  (セレクション柳人 小池正博集)

じんせいでなにかをうしなっても、またはじめられるんだなとそっちょくに思う。わたしにとって、ほん、ってずっとそういうものだった。すごくすごく大事なものをある日私はうしなう。でも「失ってからまた」始まるものがある。それはなんだろう、ってことのつづきがいつもそれらのほんにはかかれていた。ひとはいつでも続きをはじめられる。ほんをひらくひとがこどものころからわかってたこと。すきなものは、なんどもなんども、にかいめ、になること。


『バームクーヘンでわたしは眠った もともとの川柳日記』(春陽堂書店)柳本々々(句と文)・安福 望(イラスト)
2018年5月から1年間、毎日更新した連載『今日のもともと予報 ことばの風吹く』の中から、104句を厳選。
ソフトカバーつきのコデックス装で、本が開きやすく見開きのイラストページも堪能できます!
この記事を書いた人
yagimotoyasufuku
柳本々々(やぎもと・もともと)
1982年、新潟県生まれ 川柳作家 第57回現代詩手帖賞受賞
安福 望(やすふく・のぞみ)
1981年、兵庫県生まれ イラストレーター