二月の森へ12センチの鉛筆で

こないだポストに本が読んでごらんというかんじで投げ込まれていてコートを着たまま腹ばいでぱらぱらめくっていたら、

「12センチのライトセーバーでいったいどうするってんだ!?」
「うん。知っている。でも戦うのだよ」

と書いてあった。うん。しっている。でもたたかうのだよ。というところだけ、なんどかくちにだして、読んだ。いつか、やくにたつときに、だれかがそばにいる場所で、つかってみようとおもって。それは、うん、から入る。わかってる、ともいう。思い出したように、でも、と言ってから、たたかうのだよ、とさいごに言う。たたかうときに。


『バームクーヘンでわたしは眠った もともとの川柳日記』(春陽堂書店)柳本々々(句と文)・安福 望(イラスト)
2018年5月から1年間、毎日更新した連載『今日のもともと予報 ことばの風吹く』の中から、104句を厳選。
ソフトカバーつきのコデックス装で、本が開きやすく見開きのイラストページも堪能できます!
この記事を書いた人
yagimotoyasufuku
柳本々々(やぎもと・もともと)
1982年、新潟県生まれ 川柳作家 第57回現代詩手帖賞受賞
安福 望(やすふく・のぞみ)
1981年、兵庫県生まれ イラストレーター