#7「あやとり」 丸山朱梨

心音が祭囃子に重なった今日はあなたを誘い出したい
奥さんと呼ばれる人を抱くときの君を思えば胸は紅
赤い糸指に絡ませ交わって紡げないならあやとりしよう
東京から離れた街に住むなんて叶うことないふたりあやとり
会えぬまま過ぎゆく夜はトンネルで私の顔を見てるわたくし
大根は殴る武器です曾祖父を失神させて駆け落ちた祖母
革命と言えないまでも鏡割りくらい何かを壊したい自我
もうたぶん最後の夜が近付いて君にメールをしない練習

家族のかたち 丸山朱梨×木滝りま
ふたりのシングルマザーが、短歌→小説と連詩形式でつむぐ交感作品集。歌人の丸山朱梨と、脚本家の木滝りま。それぞれの作品から触発された家族の物語は、懐かしくも、どこか切ない。イラストは、コイヌマユキによる描き下ろし作品。
この記事を書いた人
短歌/丸山朱梨(まるやま・あかり)
1978年、東京都生まれ。歌人。「未来短歌会」会員。小学校5年生の息子がいるシングルマザー。https://twitter.com/vermilionpear

小説/木滝りま(きたき・りま)
茨城県出身。脚本家。小説家。自称・冒険家。大学生の息子がいるシングルマザー。東宝テレビ部のプロットライターを経て、2003年アニメ『ファイアーストーム』にて脚本デビュー。脚本を担当したドラマ『運命から始まる恋』がFODにて配信中。https://www.and-ream.co.jp/kitaki-rima
イラスト/コイヌマユキ(こいぬま・ゆき)
1980年、神奈川県生まれ。イラストレーター。多摩美術大学グラフィックデザイン学科非常勤講師。書籍の装幀やCDジャケットなど多方面で活躍。「Snih」(スニーフ/“雪”の意味)として雑貨の制作も行う。https://twitter.com/yukik_Snih