問1でゆめがかなってしまうこと

ともだちがきゅうに、「エレインがテレビにでてたよ!」というので、なんのこといってるのかな、と思ったら、海外ドラマ『アリー my Love』のエレインのことだった。昔、そのドラマを好きで繰り返し見ていた。

弁護士の物語だけれど、裁判の争点がおもしろく、ユニコーンは実在するんだというひとの主張を弁護する裁判がひらかれる。こんなことを仕事にできるっていいよな、と洗ったばかりの長い髪をふきながら思っていた。弁護士になってもでもユニコーンには関われないよな、探偵になったらいいのかな、いやちがうよね、なんになったらユニコーンにかかわれる仕事につけるんだろう、と思った。パイロットかな。

こないだふと、あるいていて、もちろん道をあるいていて、今がそうなのかも、と思った。ユニコーンにかかわれるところにちかいところにいるのかも、と。もちろん私のめのまえにユニコーンはいない。わからないままだった。ユニコーンの荒い息。草の匂い。風、もっと強い風。ときどき泣きそうになる。


『バームクーヘンでわたしは眠った もともとの川柳日記』(春陽堂書店)柳本々々(句と文)・安福 望(イラスト)
2018年5月から1年間、毎日更新した連載『今日のもともと予報 ことばの風吹く』の中から、104句を厳選。
ソフトカバーつきのコデックス装で、本が開きやすく見開きのイラストページも堪能できます!
この記事を書いた人
yagimotoyasufuku
柳本々々(やぎもと・もともと)
1982年、新潟県生まれ 川柳作家 第57回現代詩手帖賞受賞
安福 望(やすふく・のぞみ)
1981年、兵庫県生まれ イラストレーター