あなたなの?しばらくこっちにいられるの?

新宿のBEAMSJAPANで開催されていた「ウアモウとおばけちゃん」展に行ってきた。

Boo! Is that you? とハンドペイントでイラストとセリフが書かれたウアモウのソフビを買った。

Is that you? は「あなたなの」と訳すんだとおもう。わたしはこの惑星であなたを見つけようとしている。あなたはときどきたくさんいてそれがあなたなのかどうかわからない。でもあなたがちかくにいる感じはする。光のほうへわたしは歩む。しばらくあなたにここにいてほしい。だからわたしはあなたがとてもいるかんじのする方向に声をはっする。「あなたなの」

秋の新宿はひとでいっぱいで、みんな、秋の光のなかで秋の陽気をたのしんでる。すごくてをくんであるきたい季節なんだとおもう。 「あなたなの」って言ったこと、言われたことがあったかなあと考えた。いっかいだけ、あった。「おどろいたでしょ?」と私は言った。

「あなたなの」はじぶんでも思わず言ってしまったことばなんだと思う。そこにたぶんいやぜったいあなたがいることがわかって言ってしまったことばで、ときどきその「あなたなの」には、「うん」や「そうだよ」、「びっくりした?」がくっついてくる。うれしいんだとおもう。


『バームクーヘンでわたしは眠った もともとの川柳日記』(春陽堂書店)柳本々々(句と文)・安福 望(イラスト)
2018年5月から1年間、毎日更新した連載『今日のもともと予報 ことばの風吹く』の中から、104句を厳選。
ソフトカバーつきのコデックス装で、本が開きやすく見開きのイラストページも堪能できます!
この記事を書いた人
yagimotoyasufuku
柳本々々(やぎもと・もともと)
1982年、新潟県生まれ 川柳作家 第57回現代詩手帖賞受賞
安福 望(やすふく・のぞみ)
1981年、兵庫県生まれ イラストレーター