すきなひとのすきなひとのクリスマスの話

ほぼ日手帳のドラえもんのカバーを渋谷のPARCOで買った。

教室。ノートの書き取りに集中しているしずかちゃんを、遠くの席からのび太がふっと見ている。しずかちゃんはノートを見て、のび太はしずかちゃんを見ている。

ふたりはこれからどこの未来でも交わらないかもしれない。未来はふたりを待っていない。すれちがったりもしない。でものび太は今このしゅんかん、かの女を見ている。そんな構図の絵がきになって、2021年はこれにしようとふっと買った。

わたしとあなたはずっとすれちがうのに、それでもどこかいつもそばにいる。わたしたちがまだ火を使い始めたころからのえいえんの課題のようなきがする。火をつかっていたころからわたしたちはこの問題についてとりくんできました。そんなき、もする。

これはドラえもんも解決できず、わたしとのび太のふたりの課題になる。わたしたちは、すきなひとのすきなひとの話をきいている。そのすきなひとにもすきなひとがいる。チャレンジになる。


『バームクーヘンでわたしは眠った もともとの川柳日記』(春陽堂書店)柳本々々(句と文)・安福 望(イラスト)
2018年5月から1年間、毎日更新した連載『今日のもともと予報 ことばの風吹く』の中から、104句を厳選。
ソフトカバーつきのコデックス装で、本が開きやすく見開きのイラストページも堪能できます!
この記事を書いた人
yagimotoyasufuku
柳本々々(やぎもと・もともと)
1982年、新潟県生まれ 川柳作家 第57回現代詩手帖賞受賞
安福 望(やすふく・のぞみ)
1981年、兵庫県生まれ イラストレーター