ひるねと虎のあいだのおいしいジャム

テレビに映っている『西瓜糖の日々』をみた。きらきらしたガラスのような本です、と紹介されていた。愛にかんするひとびとのほんです。21でわたしは読みました。少し巻き戻して、映っているページの中身をテレビに目を近づけてみる。急になんだかひどく疲れてしまったので、で始まる章に「昼寝」とタイトルがついていた。

電話で「おとぎ話みたいなことがあってね」と話し始めたゆうじんがいた。ジャムにかんする連絡。ジャムにかんするれんらくをうけるのはただただしあわせなことだと。

丸の内のビルの地下にあった粘土でつくられた顔の展示をみていたら「かお・かお・かお」というタイトルがついていた。口が途中からなくなっていくのがよかった。それはねむっているようにもみえるしないてるようにもみえる。「あなたはいるけど」という展示タイトルもあったことを思い出した。

あなたはいるけど、といつもおもう。


『バームクーヘンでわたしは眠った もともとの川柳日記』(春陽堂書店)柳本々々(句と文)・安福 望(イラスト)
2018年5月から1年間、毎日更新した連載『今日のもともと予報 ことばの風吹く』の中から、104句を厳選。
ソフトカバーつきのコデックス装で、本が開きやすく見開きのイラストページも堪能できます!
この記事を書いた人
yagimotoyasufuku
柳本々々(やぎもと・もともと)
1982年、新潟県生まれ 川柳作家 第57回現代詩手帖賞受賞
安福 望(やすふく・のぞみ)
1981年、兵庫県生まれ イラストレーター