みんな鬼なの?いま未来なの? 日曜よ

ともだちがこきゅうについてはなしていて、「ひととおにがたたかうのにこきゅうがでてくるって不思議だね」とふと言っていた。「こきゅうとか、愛とか、ねむりとか、てをつなぐとか、水とか、あの作品にはひとの根っこになるようなものがいろいろ入ってるね」

その話をきいていて、思い出した句があった。

  灯台の8秒毎にくる痛み  八上桐子(『hibi』)

あ、そうかと思う。こきゅうがいたいのかもな、と。いきることがずっとめぐりつづける。たおしてもたおれても、わたしのからだはまだいきていて、すばっすばっと、わたしはやって来る光に照らされる。光が痛い、私が痛い、生きてるのが痛い、でもまだ続けてゆくのだ、という感覚。いきているのだという感覚。また光る。


『バームクーヘンでわたしは眠った もともとの川柳日記』(春陽堂書店)柳本々々(句と文)・安福 望(イラスト)
2018年5月から1年間、毎日更新した連載『今日のもともと予報 ことばの風吹く』の中から、104句を厳選。
ソフトカバーつきのコデックス装で、本が開きやすく見開きのイラストページも堪能できます!
この記事を書いた人
yagimotoyasufuku
柳本々々(やぎもと・もともと)
1982年、新潟県生まれ 川柳作家 第57回現代詩手帖賞受賞
安福 望(やすふく・のぞみ)
1981年、兵庫県生まれ イラストレーター