この星にきょうきたひときょうさるひと

映画『3人のゴースト』を繰り返し見ていた。ビル・マーレイはどうしていろんな映画でこんなに時間を旅しているんだろうなとおもった。じゅうねんくらい経って、ふいに、げんき? と手紙がきたことがある。わたしはすごくびっくりした。ひとは、きもちがたっぷりよどんだ時間の大きな川をこえて、げんき? とひとにきくけんりがある。ともかくすごくわたしはおどろいた。げんきじゃないけど、うれしいよ、とわたしは書いたようなきがする。

ビル・マーレイはすました顔でタイムリープしている。つぎつぎとマーレイのまえに幽霊があらわれてはきえていく。だれも、わたしってなんですか、なんてとわない。でも、ビル・マーレイがいっかいだけこんなことをウェイターにきいた。おまえがクリスマスの亡霊なんだろ!? ウェイターはおちついてこたえる。わたしはいつもわたしでございます。

げんき? げんきだよ。げんきじゃないけど。


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この記事を書いた人
yagimotoyasufuku
柳本々々(やぎもと・もともと)
1982年、新潟県生まれ 川柳作家 第57回現代詩手帖賞受賞
安福 望(やすふく・のぞみ)
1981年、兵庫県生まれ イラストレーター