「創作を実録らしく見せかけるのは、もつとも好むところだ」

戦後、数多の大衆小説を刊行し、池波正太郎・司馬遼太郎生誕100年を前に復刊を果たした≪春陽文庫≫。
2025年3月の新刊、久生十蘭『うすゆき抄 久生十蘭時代小説傑作選1』のご紹介です。

『うすゆき抄 久生十蘭自裁小説傑作選1』

『うすゆき抄 久生十蘭自裁小説傑作選1』
表紙イラスト(YOUCHAN・画)

江戸前期の仮名草紙『薄雪物語』を軸にした、儒学生・風魔大炊介と小田原の豪商の娘・加茂行子の悲恋の物語。偶然同じ渡し舟に乗り合わせて出会うふたり、誠実で凛々しい大炊介と純情無垢な行子は互いに惹かれ合う。しかし、ふたりの家は過去五百年にわたり争いを続けてきた代々の宿敵であった。単なる偶然ではなく因縁にも見えるこの出会いの結末は……。(「うすゆき抄」)
“小説の魔術師”と呼ばれた久住十蘭の時代小説9作品を収録!

収録作品:「無月物語」「うすゆき抄」「鈴木主水」「玉取物語」「重吉漂流紀聞」「新西遊記」「湖畔」「公用方秘録二件」「弘化花暦」/『うすゆき抄』覚え書き 日下三蔵
『うすゆき抄 久生十蘭時代小説傑作選1』(春陽堂書店)久生十蘭・著
本のサイズ:A6判(文庫判)
発行日:2025/3/26
ISBN:978-4-394-90503-5
価格:1,200 円(税込)
価格:1,320 円(税込)
著者紹介
久生 十蘭(ひさお・じゅうらん)

1902(明治35)年、北海道に生まれる。本名・阿部正雄。新聞記者などを経て、1933(昭和8)年から雑誌「新青年」に翻訳、ユーモア小説、著名人インタビューなどを寄稿。1936(昭和11)年から久生十蘭のペンネームを主に使用した。『顎十郎捕物帳』『魔都』『キャラコさん』『十字街』『真説・鉄仮面』「黒い手帳」「湖畔」「ハムレット」「地底獣国」など作品多数。1952(昭和27)年、「鈴木主水」で第26回直木賞を受賞。1957(昭和32)年死去。