春陽堂書店がおくる『与謝野晶子児童文学全集』全六巻のご案内です。
歌人として知られる与謝野晶子による童話、少女小説、自伝、童謡を集めました。
全巻のカバーを彩るのは竹久夢二の可憐な作品です。

児童文学者=晶子の発見
<情熱の歌人>としてのみ有名だった与謝野晶子に十七冊の評論集があり、その評論の根底が<フェミニズムの思想>にあることは、近年に至って知られるようになった。しかし晶子には、いまひとつ、<児童文学の作者>としての仕事もあったのである。
彼女には十一人の子どもがいたが、その<我が子>たちに話して聞かせた<寝物語>を文章化して、童話や少女小説とした。<情熱の歌人>の<母性の側面>を、如実に示したいとなみと言えよう。
(中略)
この『与謝野晶子児童文学全集』は女性文学者=晶子像の新たな一面を世に顕すとともに、日本児童文学における<妹の力>(女性の力量)を大きく浮彫るものとなるだろう。  

上笙かみしょう一郎いちろう(『与謝野晶子児童文学全集』編者)

≪童話篇≫『長編童話 八つの夜』

児童文学者=晶子の発見
12歳の少女綾子が、8人の少女に変身して次々と思いもよらぬ経験をする『八つの夜』。“人生修行”の旅に出た11歳の藤太郎が、危機一髪を乳母の機転によって救われる『行ってまいります』など、少年少女に向けた晶子の長編童話を収録。情熱の歌人・与謝野晶子の知られざるもう一つの顔。
◇カバー絵:竹久夢二 「少女世界」(大正14年11月号)より
≪童話篇≫『長編童話 八つの夜』(春陽堂書店)与謝野晶子・著、上笙一郎・編
本のサイズ:四六判
発行日:2007/8/1
ISBN:978-4-394-90249-2
価格:2,640 円(税込)

≪童話篇≫『童話集 少年少女』

晶子の<おとぎばなし>
「子どもをのんびり素直に育てたい」と、毎夜我が子に語った物語の数々。生き生きとした子供たちや小さな動物たちの繰り広げる童話の世界は、11人の子どもを育てた母晶子の、あふれんばかりの愛情のたまものである。生前に短篇をまとめた童話集『おどぎばなし少年少女』ほか数編を収録。
◇カバー絵:竹久夢二 「少女世界」(大正14年12月号)より
≪童話篇≫『童話集 少年少女』(春陽堂書店)与謝野晶子・著、上笙一郎・編
本のサイズ:四六判
発行日:2007/8/1
ISBN:978-4-394-90250-8
価格:2,640 円(税込)

≪童話篇≫『童話集 流されたみどり』

晶子の<子育て童話>
ファンタジー、滑稽ばなし、教訓ばなし…多彩なユーモアと機知に富んだストーリーは今もって読むものを飽きさせない。『少女の友』「童話』など数々の少女雑誌、新聞に掲載された短篇童話を初出にあたって調査、収録。晶子が愛して茶まない“ぶんちゃん”がものがたりの中で大活躍する!
◇カバー絵:竹久夢二 「少女の友」(明治44年)より
≪童話篇≫『童話集 流されたみどり』(春陽堂書店)与謝野晶子・著、上笙一郎・編
本のサイズ:四六判
発行日:2007/10/1
ISBN:978-4-394-90251-5
価格:2,640 円(税込)

≪少女小説篇≫『少女小説集 環の一年間』

晶子の<少女の物語>
快活な女学生、ご令嬢、かたや住み込みで習いごとに励む少女など、さまざまな境遇で彼女らは夢を見、煩悩する…いつの世も少女(おとめ)心は微妙なもの。その姿は、晶子自身の少女時代をも彷彿とさせる。『少女の友』『少女世界』「少女画報』などに掲載の少女小説を収録。
◇カバー絵:竹久夢二 「少女世界」(大正15年4月号)より
≪少女小説篇≫『少女小説集 環の一年間』(春陽堂書店)与謝野晶子・著、上笙一郎・編
本のサイズ:四六判
発行日:2007/10/1
ISBN:978-4-394-90252-2
価格:2,640 円(税込)

≪少女小説篇≫『自伝 私の生い立ち』

晶子の<私のものがたり>
自叙伝を残さなかった晶子が、唯一少女時代をつづった随筆「私の生い立ち」。生まれた堺の街、女学校のこと、地元の祭り、近所の大火事のことなど、感受性豊かな少女の心のゆらぎが細やかに描きだされる。同じく『新少女』連載の「私のみたる少女」、「婦人百人一首」収録。
◇カバー絵:竹久夢二 「週刊朝日」(大正14年7月号)より
≪少女小説篇≫『自伝 私の生い立ち』(春陽堂書店)与謝野晶子・著、上笙一郎・編
本のサイズ:四六判
発行日:2007/12/1
ISBN:978-4-394-90253-9
価格:2,640 円(税込)

≪少女小説篇≫『童謡集 薔薇と花子』

晶子の<マザーグース>
晶子の童謡は慈愛に満ちあふれ、自分の子に対する強く深い愛情を思わせる。少女の詩には、洗練された言葉の裏に人間の憂いが覗き始める。詩篇は晶子の人生の場面を切り取り、みずみずしく蘇らせている。ほかに校歌、歌曲として愛された作品、付録に晶子指揮“子育て論”を紹介。
◇カバー絵:竹久夢二 「愛児の友」(大正15年6月号)より
≪少女小説篇≫『童謡集 薔薇と花子』(春陽堂書店)与謝野晶子・著、上笙一郎・編
本のサイズ:四六判
発行日:2007/12/1
ISBN:978-4-394-90254-6
価格:2,640 円(税込)