週刊もともと予報
－ことばの風吹く－ ／ 5月25日

風が今　いぬがすわったときのかたち

なんかこう、じっとしていたいときがある。季節とかきもちとかむかんけいに。なにしてるの？　じっとしてる。じっとしてるのがすきなのかも。そう答えるのも答えないのもそのときのきぶんで、ともかく、わたしのいちばんおおきなこととしてじっとしている。これは夏がはじまるまえの「じっと」だと思って、できるかぎりからだをすくなくしてみる。

「これがじっとするっていうことなのね」「そう」

しずかとかすくないとかともちがう。なんかあなたと話してるとじっとしてくるね、と言われるためにはどうしたらいいんだろう。いいかんじでじっとしてきたよ。ひとりだったはずが、ふたりでじっとしている。いろんなことをわすれていく。

まなざしはゼリーぢーつとしてゐると　　小津夜景 『フラワーズ・カンフー』

『もともと予報』（春陽堂書店）柳本々々（句）・安福　望(イラスト)

2019年5月から好評連載中『週刊もともと予報－ことばの風吹く－』がすてきなポストカードブックになりました！ 24綴りとなっております。１枚ずつ切り離して飾るもよし、大切な方へのお便りに使うもよし、当連載と併せてお楽しみください。

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『バームクーヘンでわたしは眠った　もともとの川柳日記』（春陽堂書店）柳本々々(句と文)・安福　望(イラスト)

2018年5月から1年間、毎日更新した連載『今日のもともと予報－ことばの風吹く－』が本になりました。365句の中から104句を厳選。
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