どうしようあなたがとてもひかってる

そのひととどういう関係だったんですかと聞かれたことがあって、私は、一緒に歌をうたってた仲ですと答えたことがある。「むかしいっしょにおおきな口で歌をうたってただけです。ともだちとかそういうのじゃない。たまたまそのときいっしょの場所にいておなじ歌をうたってた。今はちがう場所にいるかもしれないけれど、そのときのそんな記憶がかすかにある。ときどきそのときの口のかたちになることだってある。そういう関係ってあるんじゃないですか」といったことがある。「そうかもしれません、そうかもしれませんね」とそのひとは言った。

「どんな歌だったんですか、それ」と言うので、「光」ってことばがはいってたとおもうよ、とわたしはいった。あと「夏」も。とにかく明るくて、さいごのほうがすこしかなしくて、でもひとりじゃなかったからさいごまで歌いきれる、そういう歌でした、とわたしは話した。うなずいて、きいてくれていた。


『もともと予報』(春陽堂書店)柳本々々(句)・安福 望(イラスト)
2019年5月から好評連載中『週刊もともと予報-ことばの風吹く-』がすてきなポストカードブックになりました! 24綴りとなっております。1枚ずつ切り離して飾るもよし、大切な方へのお便りに使うもよし、当連載と併せてお楽しみください。


『バームクーヘンでわたしは眠った もともとの川柳日記』(春陽堂書店)柳本々々(句と文)・安福 望(イラスト)
2018年5月から1年間、毎日更新した連載『今日のもともと予報-ことばの風吹く-』が本になりました。365句の中から104句を厳選。
ソフトカバーつきのコデックス装で、本が開きやすく見開きのイラストページも堪能できます!

この記事を書いた人
yagimotoyasufuku
柳本々々(やぎもと・もともと)
1982年、新潟県生まれ 川柳作家 第57回現代詩手帖賞受賞
安福 望(やすふく・のぞみ)
1981年、兵庫県生まれ イラストレーター