新生春陽文庫への期待
春陽堂書店は明治から続く文芸出版の老舗であり、古くは夏目漱石や芥川龍之介の作品も刊行している。大正期には江戸川乱歩の最初の著書『心理試験』を始めとした数多くの単行本を刊行し、勃興期の探偵小説を力強く支えた。また、日本小説文庫、春陽堂文庫、春陽文庫と名称を変えながら、探偵小説、時代小説、現代小説などの大衆小説を長年に渡って出し続けた。夥しいタイトルを擁する春陽文庫の既刊本リストは、わが国における大衆小説の歴史そのものといって過言ではない。
平成以降、しばらく新刊の刊行を休止していたが、ここ数年、『江戸川乱歩文庫』(全30巻)リニューアル版、横溝正史『完本人形佐七捕物帳』(全10巻)、『合作探偵小説コレクション』(全8巻予定)など、新企画に意欲的である。そんな春陽堂書店が、いよいよ本格的に春陽文庫を再始動すると聞いて、興奮を禁じ得ない。時代小説を中心に、以前の春陽文庫で出ていた作品だけでなく、幅広い傑作が続々と刊行されるという。かつての大衆小説が持っていた野放図なパワーを、現代の読者にも、たっぷりと味わっていただきたいと思う。
日下三蔵(文芸評論家)
『春陽堂書店 発行図書総目録(1879年~1988年)』
春陽堂書店編集部・編
春陽堂書店編集部・編
池波正太郎、司馬遼太郎生誕100年を前にした2022年、春陽文庫が再び始まりました。
復刊にとどまらず、春陽文庫としては初の作品もこの先続々登場します。
時代を超えて愛される作品をこの機に心ゆくまでお楽しみください。
《NEW》半村 良
≪既刊≫
池波 正太郎
横溝 正史
松本 清張
司馬 遼太郎
『花咲ける上方武士道』
幕末、朝廷の密命を受けた公家密偵使・高野少将則近。大坂侍百済ノ門兵衛、伊賀忍者名張ノ青不動とともに、京都から江戸へ下る。 東海道を舞台に佐幕派、勤皇派ら、甲賀忍者の刺客に立ち向かいながら、使命を守る活躍を描く。大御所司馬遼太郎の世界!
幕末、朝廷の密命を受けた公家密偵使・高野少将則近。大坂侍百済ノ門兵衛、伊賀忍者名張ノ青不動とともに、京都から江戸へ下る。 東海道を舞台に佐幕派、勤皇派ら、甲賀忍者の刺客に立ち向かいながら、使命を守る活躍を描く。大御所司馬遼太郎の世界!
山田風太郎
エンターテインメントの巨匠・山田風太郎、春陽文庫で蘇える!『八犬伝』『魔界転生』などの忍法もの、『いだてん百里』『妖説太閤記』などの伝奇時代小説、明治もの、現代ミステリーなど多彩なジャンルの作品を100冊以上も遺している山田風太郎。現在、『女人国伝奇』はじめ、『いだてん百里』『白波五人帖』を新刊として読めるのは春陽文庫だけ!
山手 樹一郎
皆川 博子
坂口 安吾
海音寺 潮五郎
国枝 史郎
笹沢 左保
柴田 錬三郎
島田 一男
陣出 達朗
高木 彬光
『妖説地獄谷』
時は天保、ある春の宵、旗本の次男坊・早乙女主計は、高名な女侠・人魚のお富と出会う。深く惹かれていく主計だったが、
それは先の知れぬ巨大な宿命劇の始まりであった。
推理小説界の巨匠、高木彬光が贈る一大伝奇時代長編の傑作!
時は天保、ある春の宵、旗本の次男坊・早乙女主計は、高名な女侠・人魚のお富と出会う。深く惹かれていく主計だったが、
それは先の知れぬ巨大な宿命劇の始まりであった。
推理小説界の巨匠、高木彬光が贈る一大伝奇時代長編の傑作!
角田 喜久雄
南條 範夫
野村 胡堂
山岡 荘八
『水戸黄門』
五代将軍綱吉の治世。綱吉をとりまく権臣は、水戸徳川家の黄門光圀をひそかに葬ろうと陰謀を巡らせていた。 東北への旅に出かけたと見せかけ、水戸を立った黄門光圀と従う助さん・格さんの行く手に待つものは?!
黄門様によるあっぱれ世直しの物語!
五代将軍綱吉の治世。綱吉をとりまく権臣は、水戸徳川家の黄門光圀をひそかに葬ろうと陰謀を巡らせていた。 東北への旅に出かけたと見せかけ、水戸を立った黄門光圀と従う助さん・格さんの行く手に待つものは?!
黄門様によるあっぱれ世直しの物語!
山田正紀
今後も続々刊行予定につきご期待ください!