新生春陽文庫への期待

春陽堂書店は明治から続く文芸出版の老舗であり、古くは夏目漱石や芥川龍之介の作品も刊行している。大正期には江戸川乱歩の最初の著書『心理試験』を始めとした数多くの単行本を刊行し、勃興期の探偵小説を力強く支えた。また、日本小説文庫、春陽堂文庫、春陽文庫と名称を変えながら、探偵小説、時代小説、現代小説などの大衆小説を長年に渡って出し続けた。夥しいタイトルを擁する春陽文庫の既刊本リストは、わが国における大衆小説の歴史そのものといって過言ではない。
平成以降、しばらく新刊の刊行を休止していたが、ここ数年、『江戸川乱歩文庫』(全30巻)リニューアル版、横溝正史『完本人形佐七捕物帳』(全10巻)、『合作探偵小説コレクション』(全8巻予定)など、新企画に意欲的である。そんな春陽堂書店が、いよいよ本格的に春陽文庫を再始動すると聞いて、興奮を禁じ得ない。時代小説を中心に、以前の春陽文庫で出ていた作品だけでなく、幅広い傑作が続々と刊行されるという。かつての大衆小説が持っていた野放図なパワーを、現代の読者にも、たっぷりと味わっていただきたいと思う。

日下三蔵(文芸評論家)

池波正太郎、司馬遼太郎生誕100年を前にした2022年、春陽文庫が再び始まりました。
復刊にとどまらず、春陽文庫としては初の作品もこの先続々登場します。
時代を超えて愛される作品をこの機に心ゆくまでお楽しみください。

《NEW》池波正太郎

《NEW》『剣法一羽流』

何としても、あの秘伝書を奪い返さねば!!
病床の師匠の部屋から盗まれた剣の秘伝書。二人の弟子は取り返すことが出来るのか(「剣法一羽流」)
池波正太郎初期の短編時代小説傑作選!

『剣法一羽流』
 発行日: 2024/5/28
 ISBN: 978-4-394-90482-3
 価格:990 円(税込)

《NEW》笹沢佐保

《NEW》『雪に花散る奥州路』

あの、「木枯し紋次郎」の笹沢佐保の傑作時代小説
甲州から野州へ、適地をくぐり抜ける決死行!(「雪に花散る奥州路」)
非情な渡世人の世界に生きる男たちの姿をリアルに描く股旅物シリーズ。

『雪に花散る奥州路』
 発行日: 2024/5/28
 ISBN: 978-4-394-90483-0
 価格: 968 円(税込)

≪既刊≫

池波 正太郎

『竜尾の剣』

近藤勇道場の食客となり新選組結成に参加した永倉新八の日々を描く表題作のほか、時代小説の巨匠・池波正太郎の初期傑作短編集!
『仇討ち物語』
 
父が惨殺された息子の天野源助は、半年後、幸いにも敵を討つことができたのだが……
「運の矢」ほか6編を収録した珠玉の“仇討ち物語”集!

『錯乱』
 
第43回直木賞受賞作「錯乱」のほか、「碁盤の首」「刺客」「秘図」「賊将」の全5作品を収録した珠玉の短編集。

横溝 正史

『矢柄頓兵衛戦場噺』

―横溝正史時代小説コレクション第三弾―
かつて戦場に活躍した老旗本が泰平に馴れた武士の堕落を嘆き、往時を語り聞かせる傑作短編集。

『菊水江戸日記』

—横溝正史時代小説コレクション第二弾—
幕末動乱期に起こるいくつもの謎の事件とともに好漢・菊水兵馬の活躍を描く伝奇時代ミステリー!

『菊水兵談』

—横溝正史時代小説コレクション第一弾—
幕末を舞台に、討幕運動の渦中に身を躍らせる菊水兵馬の活躍を描いた、全11話からなる連作時代小説。

松本 清張

『天保図録』
 
「砂と器」「点と線」「黒革の手帖」——
今も読み継がれる社会派ミステリーの巨人が書いた時代小説が春陽文庫としては初登場。
天保の改革を壮大に描く時代長編!(全四巻)





司馬 遼太郎

『花咲ける上方武士道』
 
幕末、朝廷の密命を受けた公家密偵使・高野少将則近。大坂侍百済ノ門兵衛、伊賀忍者名張ノ青不動とともに、京都から江戸へ下る。 東海道を舞台に佐幕派、勤皇派ら、甲賀忍者の刺客に立ち向かいながら、使命を守る活躍を描く。大御所司馬遼太郎の世界!


山田風太郎

エンターテインメントの巨匠・山田風太郎、春陽文庫で蘇える!
『八犬伝』『魔界転生』などの忍法もの、『いだてん百里』『妖説太閤記』などの伝奇時代小説、明治もの、現代ミステリーなど多彩なジャンルの作品を100冊以上も遺している山田風太郎。現在、『女人国伝奇』はじめ、『いだてん百里』『白波五人帖』を新刊として読めるのは春陽文庫だけ!
『妖説忠臣蔵』

お馴染み『忠臣蔵』ファンでも驚く山田風太郎ワールド
全開の<異説・忠臣蔵>!!
奇想天外な全7篇収録。

『女人国伝奇』
 
江戸一の名花と謳われた松葉谷の花魁・薫。野暮で堅物の関之助と、花魁の全てを賭けた駆け引きがはじまる。江戸の吉原を舞台に、虚実入り乱れる山田風太郎ワールド!
『いだてん百里』
 
徳川隠密と忍者の暗闘、怪異な山伏集団の跳梁…自由を愛する山の民「撫衆」は山野を駆け抜ける!
「忍法帖」シリーズ前に発表された伝奇長編小説。

『白波五人帖』
 
江戸中期、徳川吉宗の治世下の終わり頃、世間をあっと言わせた盗賊・日本左衛門一味がいた。世間に名だたる白波五人男。お尋ね者となった男たちの運命はいかに?

山手 樹一郎

『桃太郎侍』

TVドラマにもなった『桃太郎侍』の知られざる原点、遂に復刊。
アクションあり、恋あり、涙あり…… 山手樹一郎の傑作長編! (全2巻)



皆川 博子

『散りしきる花』

吉原の遊女屋の一人娘が飛び込んだ、旅役者の世界。興行しながら旅する日々に、思いがけない試練が……。『恋紅』の主人公、ゆうの「その後」を描く。
『恋紅』

幕末の江戸から明治の東京へ、世の慌ただしい変化に翻弄されながら、信じた道を生き抜こうとする女性の姿を細やかに描く直木賞受賞作品。

坂口 安吾

『明治開化安吾捕物帖』

坂口安吾からの挑戦状! 明治を舞台に起こる怪事件──。紳士探偵事結城新十郎と仲間たち、そして勝海舟も登場して真相に迫る! 坂口安吾人粋シリーズ傑作選!

海音寺 潮五郎

『天正女合戦』

大坂城の大奥で豊臣秀吉の夫人たちが繰り広げる凄まじいまでの闘争、それに翻弄される千利休の娘の行く末は──。
直木賞受賞2作品を収録した傑作短編集。


国枝 史郎

神州纐纈城しんしゅうこうけつじょう
 
武田信玄家臣・土屋庄三郎。本栖湖に浮かぶ水城「纐纈城」と怪異の世界に入り込んでいく── 三島由紀夫がその文章の見事さや現代性、芸術性を称賛した伝奇小説の傑作!

笹沢 左保

『見かえり峠の落日』
 
寡黙で孤独な渡世人たちそれぞれの生き様を描き、後の大ヒットシリーズ『木枯し紋次郎』に繋がる笹沢《新・股旅ワールド》短編傑作集。

柴田 錬三郎

『血汐笛』
 
尊皇攘夷の声が高まる江戸。怪しい黒づくめの男に襲われた由香を救ったのは、着流しの浪人・きらら主水。
現在古書でも入手困難な柴田錬三郎の長編伝奇時代物語!



島田 一男

『御朱印銀次捕物帳』

奉行所では手を出せない武家屋敷や神社仏閣でも自由に入り取り調べするお墨付きを将軍からもらった御用聞き、人呼んで「御朱印銀次」が権威に隠れた悪を暴く!
『素浪人無残帖』
 
NHKドラマ『事件記者』の脚本も手掛けた作家・島田一男の時代小説。11代将軍家斉治世下、世を乱す悪人輩の奸計に対するは南蛮刀居合い斬りの達人・じゃが太郎兵衛!

陣出 達朗

『黄金万花峡』

秘宝の行方は豊満な乳房に隠し掘りされていた!
手に汗にぎる痛快時代小説巨編登場!

高木 彬光

『妖説地獄谷』
 
時は天保、ある春の宵、旗本の次男坊・早乙女主計は、高名な女侠・人魚のお富と出会う。深く惹かれていく主計だったが、
それは先の知れぬ巨大な宿命劇の始まりであった。
推理小説界の巨匠、高木彬光が贈る一大伝奇時代長編の傑作!



角田 喜久雄

『髑髏銭』

一面識もない町人からの頼みで事件にまきこまれるお小夜。
怪人銭ホオズキの魔手から救ってくれたのは美貌の浪士・神奈三四郎であった。
財宝を秘めた髑髏銭14 枚をめぐる謎また謎!



南條 範夫

『傍若無人剣』
 
文武両道に秀でる一方、短気、わがまま、傍若無人、女、酒、博打なんでもござれ。我が道を走り続ける「規格外」な快男児・前田慶二郎が活躍する痛快時代劇!

野村 胡堂

『【銭形平次捕物控】恋文道中記』

御存知、銭形平次と八五郎の捕物名コンビ、盗まれた恋文を取り戻すため西へと向かうが……
これまでほとんど文庫化されなかった2編収録!

山岡 荘八

『水戸黄門』
 
五代将軍綱吉の治世。綱吉をとりまく権臣は、水戸徳川家の黄門光圀をひそかに葬ろうと陰謀を巡らせていた。 東北への旅に出かけたと見せかけ、水戸を立った黄門光圀と従う助さん・格さんの行く手に待つものは?!
黄門様によるあっぱれ世直しの物語!



今後も続々刊行予定につきご期待ください!