新生春陽文庫への期待

春陽堂書店は明治から続く文芸出版の老舗であり、古くは夏目漱石や芥川龍之介の作品も刊行している。大正期には江戸川乱歩の最初の著書『心理試験』を始めとした数多くの単行本を刊行し、勃興期の探偵小説を力強く支えた。また、日本小説文庫、春陽堂文庫、春陽文庫と名称を変えながら、探偵小説、時代小説、現代小説などの大衆小説を長年に渡って出し続けた。夥しいタイトルを擁する春陽文庫の既刊本リストは、わが国における大衆小説の歴史そのものといって過言ではない。
平成以降、しばらく新刊の刊行を休止していたが、ここ数年、『江戸川乱歩文庫』(全30巻)リニューアル版、横溝正史『完本人形佐七捕物帳』(全10巻)、『合作探偵小説コレクション』(全8巻予定)など、新企画に意欲的である。そんな春陽堂書店が、いよいよ本格的に春陽文庫を再始動すると聞いて、興奮を禁じ得ない。時代小説を中心に、以前の春陽文庫で出ていた作品だけでなく、幅広い傑作が続々と刊行されるという。かつての大衆小説が持っていた野放図なパワーを、現代の読者にも、たっぷりと味わっていただきたいと思う。

日下三蔵(文芸評論家)

池波正太郎、司馬遼太郎生誕100年を前にした2022年、春陽文庫が再び始まりました。
復刊にとどまらず、春陽文庫としては初の作品もこの先続々登場します。
時代を超えて愛される作品をこの機に心ゆくまでお楽しみください。

《NEW》皆川 博子

《NEW》『散りしきる花』

兄さんの歩いたあとに花が残っていくんです
吉原の遊女屋の一人娘が飛び込んだ、旅役者の世界。興行しながら旅する日々に、思いがけない試練が……。
『恋紅』の主人公、ゆうの「その後」を描く。

『散りしきる花』
 発行日: 2024/4/22
 ISBN: 978-4-394-90479-3
 価格:990 円(税込)

《NEW》坂口 安吾

《NEW》『明治開化安吾捕物帖』

坂口安吾からの挑戦状
明治を舞台に起こる怪事件──。
紳士探偵事結城新十郎と仲間たち、そして勝海舟も登場して真相に迫る!
坂口安吾人粋シリーズ傑作選!

『明治開化安吾捕物帖』
 発行日: 2024/4/22
 ISBN: 978-4-394-90480-9
 価格: 946 円(税込)

皆川 博子

『恋紅』

幕末の江戸から明治の東京へ、世の慌ただしい変化に翻弄されながら、信じた道を生き抜こうとする女性の姿を細やかに描く直木賞受賞作品。
『恋紅』
 発行日: 2024/3/26
 ISBN:978-4-394-90476-2
 価格:990 円(税込)

島田 一男

『御朱印銀次捕物帳』

奉行所では手を出せない武家屋敷や神社仏閣でも自由に入り取り調べするお墨付きを将軍からもらった御用聞き、人呼んで「御朱印銀次」。今日も権威に隠れた悪を暴く!
『御朱印銀次捕物帳』
 発行日: 2024/3/26
 ISBN: 978-4-394-90477-9
 価格: 924 円(税込)

野村 胡堂

『【銭形平次捕物控】恋文道中記』

御存知、銭形平次と八五郎の捕物名コンビ、盗まれた恋文を取り戻すため西へと向かうが……
これまでほとんど文庫化されなかった2編収録!

『【銭形平次捕物控】恋文道中記』
 発行日: 2024/2/27
 ISBN:978-4-394-90474-8
 価格:1,012 円(税込)

陣出 達朗

『黄金万花峡』

秘宝の行方は豊満な乳房に隠し掘りされていた!
手に汗にぎる痛快時代小説巨編登場!

『黄金万花峡』
 発行日: 2024/2/27
 ISBN: 978-4-394-90475-5
 価格: 946 円(税込)

山手 樹一郎

『桃太郎侍』

TVドラマにもなった 『桃太郎侍 』の知られざる原点、遂に復刊。
アクションあり、恋あり、涙あり……
山手樹一郎の傑作長編!

『桃太郎侍』(上)
 発行日:2024/1/26
 ISBN:978-4-394-90470-0
 価格:1,012 円(税込)
『桃太郎侍』(下)
 発行日:2024/1/26
 ISBN:978-4-394-90471-7
 価格:1,012 円(税込)

山田風太郎

『妖説忠臣蔵』

お馴染み『忠臣蔵』ファンでも驚く山田風太郎ワールド全開の<異説・忠臣蔵>!!
奇想天外、まさか……、それでも「ひょっとしたら」と思わせる全7篇収録。

『妖説忠臣蔵』
 発行日:2023/11/28
 ISBN:978-4-394-90469-4
 価格:1,210 円(税込)

>>山田風太郎の春陽文庫既刊はこちら


横溝 正史

『矢柄頓兵衛戦場噺』

―横溝正史時代小説コレクション第三弾―
かつて戦場に活躍した老旗本が泰平に馴れた武士の堕落を嘆き、往時を語り聞かせる傑作短編集。

『矢柄頓兵衛戦場噺』
 発行日:2023/10/25
 ISBN:978-4-394-90460-1
 価格:1,210 円(税込)
『菊水江戸日記』

—横溝正史時代小説コレクション第二弾—
幕末動乱期に起こるいくつもの謎の事件とともに好漢・菊水兵馬の活躍を描く伝奇時代ミステリー!

『菊水江戸日記』
 発行日:2023/9/25
 ISBN:978-4-394-90457-1
 価格:1,100 円(税込)
『菊水兵談』

—横溝正史時代小説コレクション第一弾—
幕末を舞台に、討幕運動の渦中に身を躍らせる菊水兵馬の活躍を描いた、全11話からなる連作時代小説。

『菊水兵談』
 発行日:2023/8/28
 ISBN:978-4-394-90450-2
 価格:1,210 円(税込)

池波 正太郎

『竜尾の剣』

近藤勇道場の食客となり新選組結成に参加した永倉新八の日々を描く表題作のほか、
「黒雲峠」「仇討ち半九郎」「さいころ蟲」など、時代小説の巨匠・池波正太郎の初期傑作短編集!

『竜尾の剣』
 発行日:2023/10/25
 ISBN:978-4-394-90459-5
 価格:946 円(税込)

>>池波正太郎の春陽文庫既刊はこちら


海音寺 潮五郎

『天正女合戦』

茶人・千宗易(後の利休)の娘・お吟は大奥に出入りして茶の湯を教えているが、秀吉の寵愛する美しい夫人たちの烈しい女の闘いの渦に否応なく巻き込まれてゆく。
第三回直木賞に輝いた表題作「天正女合戦」「武道伝来記」他三話収録、海音寺潮五郎の傑作短編集!

『天正女合戦』
 発行日:2023/9/25
 ISBN:978-4-394-90458-8
 価格:980 円(税込)

角田 喜久雄

『髑髏銭』

一面識もない町人からの頼みで事件にまきこまれるお小夜。
怪人銭ホオズキの魔手から救ってくれたのは美貌の浪士・神奈三四郎であった。
財宝を秘めた髑髏銭14 枚をめぐる謎また謎!

『髑髏銭』(上)
 発行日:2023/8/28
 ISBN:978-4-394-90455-7
 価格:1,210 円(税込)
『髑髏銭』(下)
 発行日:2023/8/28
 ISBN:978-4-394-90456-4
 価格:1,210 円(税込)

松本 清張

『天保図録』
 
「砂と器」「点と線」「黒革の手帖」——
今も読み継がれる社会派ミステリーの巨人が書いた時代小説が春陽文庫としては初登場。
天保の改革を壮大に描く時代長編!(全四巻)

『天保図録』(一)
 発行日: 2023/6/26
 ISBN:978-4-394-90448-9
 価格:1,430 円(税込)
『天保図録』(二)
 発行日: 2023/6/26
 ISBN:978-4-394-90449-6
 価格:1,430 円(税込)
『天保図録』(三)
 発行日: 2023/7/25
 ISBN:978-4-394-90451-9
 価格:1,430 円(税込)
『天保図録』(四)
 発行日: 2023/7/25
 ISBN:978-3-394-90452-6
 価格:1,430 円(税込)

山田 風太郎

エンターテインメントの巨匠・山田風太郎、春陽文庫で蘇える!
『八犬伝』『魔界転生』などの忍法もの、『いだてん百里』『妖説太閤記』などの伝奇時代小説、明治もの、現代ミステリーなど多彩なジャンルの作品を100冊以上も遺している山田風太郎。現在、『女人国伝奇』はじめ、『いだてん百里』『白波五人帖』を新刊として読めるのは春陽文庫だけ!

『女人国伝奇』
 
かの大通人・蜀山人こと太田南畝が絶賛し江戸一の名花と謳われた松葉谷の花魁・薫。野暮で堅物の関之助と、花魁の全てを賭けた駆け引きがはじまる──
江戸の吉原を舞台に、虚実入り乱れる山田風太郎ワールド!

『女人国伝奇』
 発行日:2023/7/25
 ISBN:978-3-394-90452-6
 価格:1,430 円(税込)
『いだてん百里』
 
徳川隠密と忍者の暗闘、怪異な山伏集団の跳梁…自由を愛する山の民「撫衆なでし」は山野を駆け抜ける!
「忍法帖」シリーズ前に発表された伝奇長編小説。

『いだてん百里』
 発行日:2023/5/26
 ISBN:978-4-394-90443-4
 価格:1,210 円(税込)
『白波五人帖』
 
「知らざあ言って聞かせやしょう」で有名な歌舞伎狂言に 大胆なアレンジを加えた、時代伝奇ロマン!
江戸中期、徳川吉宗の治世下の終わり頃、世間をあっと言わせ た盗賊・日本左衛門一味がいた。従うは、弁天小僧菊之助、南 郷力丸、赤星十三郎、忠信利平。これが世間に名だたる白波五人男。お尋ね者となった男たちの運命はいかに?

『白波五人帖』
発行日:2023/2/16
ISBN:978-4-394-90438-0
価格:1,188 円(税込)

島田 一男

『素浪人無残帖』
 
NHKドラマ『事件記者』の脚本も手掛けた作家・島田一男の時代小説。
十一代将軍家斉治世下、世を乱す悪人輩の奸計に対するは南蛮刀居合い斬りの達人じゃが太郎兵衛!

『素浪人無残帖』
 発行日:2023/6/26
 ISBN:978-4-394–90450-2
 価格:1,210 円(税込)

笹沢 左保

『見かえり峠の落日』
 
寡黙で孤独な渡世人たちそれぞれの生き様を描き、後の大ヒットシリーズ『木枯し紋次郎』に繋がる笹沢《新・股旅ワールド》短編傑作集。
人生の裏街道を行くアウトローを鮮烈に描きます。

『見返り峠の落日』
 発行日:2023/5/26
 ISBN:978-4-394-90446-5
 価格:1,100 円(税込)

南條 範夫

『傍若無人剣』
 
文武両道に秀でる一方、短気、わがまま、傍若無人、女、酒、博打なんでもござれ。
我が道を走り続ける「規格外」な快男児・前田慶二郎が活躍する痛快時代劇!

『傍若無人剣』
 発行日:2023/5/26
 ISBN:978-4-394-90445-8
 価格:990 円(税込)

国枝 史郎

神州纐纈城しんしゅうこうけつじょう
 
武田信玄家臣・土屋庄三郎。神秘的な教団、超人的な人々、本栖湖に浮かぶ水城「纐纈城」と怪異の世界に入り込んでいく――
三島由紀夫がその文章の見事さや現代性、芸術性を称賛した伝奇小説の傑作!

『神州纐纈城』
 発行日:2023/5/26
 ISBN:978-4-394-90441-1
 価格:1,375 円(税込)

山岡 荘八

『水戸黄門』
 
五代将軍綱吉の治世。綱吉をとりまく権臣は、水戸徳川家の黄門光圀をひそかに葬ろうと陰謀を巡らせていた。 東北への旅に出かけたと見せかけ、水戸を立った黄門光圀と従う助さん・格さんの行く手に待つものは?!
黄門様によるあっぱれ世直しの物語!

『水戸黄門』上巻
 発行日:2023/4/18
 ISBN:978-4-394-90441-0
 価格:1,100 円(税込)
『水戸黄門』下巻
 発行日:2023/4/18
 ISBN:978-4-394-90442-7
 価格:1,100 円(税込)

高木 彬光

『妖説地獄谷』
 
天保13年、天保の改革で厳しい緊縮令が敷かれるなか、江戸の人々は抑圧的な日々を暮らしていた。ある春の宵、旗本の次男坊・早乙女主計さおとめかずえは、高名な女侠・人魚のお富と出会う。深く惹かれていく主計だったが、それは先の知れぬ巨大な宿命劇の始まりであった。次々と現われる謎を追いかけるうちに見えてきたのは、江戸に渦巻く巨大な陰謀の姿……。
推理小説界の巨匠、高木彬光が贈る一大伝奇時代長編の傑作!

『妖説地獄谷』上巻
 発行日:2023/4/18
 ISBN:978-4-394-90439-7
 価格:1,210 円(税込)
『妖説地獄谷』下巻
 発行日:2023/4/18
 ISBN:978-4-394-90440-3
 価格:1,210 円(税込)

柴田 錬三郎

『血汐笛』
 
尊皇攘夷の声が高まる江戸。怪しい黒づくめの男に襲われた由香を救ったのは、着流しの浪人・きらら主水。正体不明の怪盗・笛ふき天狗も現れ……。
現在古本でも入手困難な柴田錬三郎の長編伝奇時代物語!

『血汐笛』上巻
 発行日:2023/1/26
 ISBN:978-4-394-90436-6
 価格:968 円(税込)
『血汐笛』下巻
 発行日:2023/1/26
 ISBN:978-4-394-90437-3
 価格:946 円(税込)

司馬 遼太郎

『花咲ける上方武士道』
 
幕末、朝廷の密命を受けた公家密偵使・高 野少将則近。大坂侍百済ノ門兵衛、伊賀忍 者名張ノ青不動とともに、京都から江戸へ下る。 東海道を舞台に佐幕派、勤皇派ら、甲賀忍 者の刺客に立ち向かいながら、使命を守る 活躍を描く。大御所司馬遼太郎の世界!
『花咲ける上方武士道』上巻
 発行日:2022/12/16
 ISBN:978-4-394-90432-8
 価格:946 円(税込)
『花咲ける上方武士道』下巻
 発行日:2022/12/16
 ISBN:978-4-394-90433-5
 価格:946 円(税込)

池波 正太郎

『錯乱』
 
第43回直木賞受賞作「錯乱」。 幕府の監視を受けていた松代真田藩では、藩主信政の死による後継問題で殺気だっていた! 老中隠密堀平五郎は隠居信之の密命を受けたが、逆に江戸に走り老中に報告、その結果は?
ほか、百姓娘に欲情した信州上田藩士を描く「碁盤の首」、松代藩内抗争事件を描く「刺客」、夜ごと男女交合秘図描きに没頭する火付盗賊改めを描く「秘図」、そして薩摩藩の暴れ者中村半次郎を描く「賊将」の4編収録。

『錯乱』
発行日:2022/9/25
ISBN:978-4-394-90423-6
価格:924 円(税込)
『仇討ち物語』
 
入手困難! 知られざる珠玉の短編集。
硬骨漢をもって自他ともにゆるす父が惨殺されて、これまで“小心者”のレッテルをはられていた息子の天野源助は、半年後幸いにも仇を討つことができたのだが……「運の矢」ほか6編を収録した“仇討ち物語集”!

『仇討ち物語』
発行日:2022/10/19
ISBN:978-4-394-90424-3
価格:924 円(税込)
今後も続々刊行予定につきご期待ください!