戦後、数多の大衆小説を刊行し、池波正太郎・司馬遼太郎生誕100年を前に復刊を果たした≪春陽文庫≫。
2024年1月の新刊、山手樹一郎『桃太郎侍』のご紹介です。
時代小説の庶民派人気作家NO,1といえば、なんといっても山手樹一郎であろう。山手樹一郎の時代小説のよさは、なんといっても非常にわかりやすく、しかもおもしろいということであるが、こうした作品をかくことは容易にみえて、実はたいへん難しいことであり、人生というものの姿を確実に把握し、芯の人間性というものをよく弁えた練達の書き手でなければできないことなのである。山手樹一郎こそは、そんな条件をそなえた稀有な時代小説家なのである。
山手時代小説の基本骨格——たとえば明朗闊達な性質の持ち主で剣にも強い若浪人という主人公たちは、例外なく弱きを助け強い悪玉をくじく正義漢である。こうした颯爽たる浪人をとりまく艶冶な美女たち——とくれば、これはもう正義派好みの庶民ファンにとってはこたえきれない魅力であって、また読んでみたいと思わざるをえなくなるのである。
山手時代小説の基本骨格——たとえば明朗闊達な性質の持ち主で剣にも強い若浪人という主人公たちは、例外なく弱きを助け強い悪玉をくじく正義漢である。こうした颯爽たる浪人をとりまく艶冶な美女たち——とくれば、これはもう正義派好みの庶民ファンにとってはこたえきれない魅力であって、また読んでみたいと思わざるをえなくなるのである。
(文芸評論家・武蔵野次郎)
『桃太郎侍』
かつぎ呉服で元盗賊の伊之助は、往来で二人の侍に絡まれている踊りの師匠小鈴を助けた若い浪人に惚れ込んだ。桃太郎と名乗るその男は、女手ひとつで育ててくれた乳母と死に別れ、今日から天涯孤独、宿なしの身。伊之助の世話で通称お化け長屋に住むことになった桃太郎侍だったが、ふとした出逢いから、さる大藩のお家騒動に巻き込まれ、やがて敵味方入り乱れての鬼退治の旅路が始まる!
アクションあり、恋あり、そして涙あり……。大衆文学で一時代を築いた山手樹一郎の代表作、大人気TVシリーズの原点となった傑作長編!
上巻:「仮の宿」「いろは草紙」「夜がらす」「好敵手」「火花」「悪党」収録
下巻:「品川の宿」「第一夜」「宇都谷峠」「船番所」「虎穴」「一騎討ち」収録
アクションあり、恋あり、そして涙あり……。大衆文学で一時代を築いた山手樹一郎の代表作、大人気TVシリーズの原点となった傑作長編!
上巻:「仮の宿」「いろは草紙」「夜がらす」「好敵手」「火花」「悪党」収録
下巻:「品川の宿」「第一夜」「宇都谷峠」「船番所」「虎穴」「一騎討ち」収録
【関連コンテンツ】連載「山手樹一郎と春陽堂」
『桃太郎侍』でおなじみ、“明朗時代小説”という新たなジャンルを切り開き人気を博した山手樹一郎の足跡を、春陽堂の書籍とともにめぐる連載です。(全5回)┃著者紹介
山手 樹一郎(やまて・きいちろう)
明治32(1899)年、栃木県に生まれる。大正6(1917)年明治中学校を卒業後、昭和2(1927)年博文館へ入社し『少年少女譚海』の編集長を務める。仕事のかたわら小説の執筆をはじめ、昭和8(1933)年より山手樹一郎の筆名で作品を発表、昭和14(1939)年より専業作家となる。長谷川伸主宰の「十五日の会」(後の新鷹会)に加わり研鑽を積む。『桃太郎侍』『夢介千両みやげ』などで国民的人気作家となる。昭和53(1978)年死去。
山手 樹一郎(やまて・きいちろう)
明治32(1899)年、栃木県に生まれる。大正6(1917)年明治中学校を卒業後、昭和2(1927)年博文館へ入社し『少年少女譚海』の編集長を務める。仕事のかたわら小説の執筆をはじめ、昭和8(1933)年より山手樹一郎の筆名で作品を発表、昭和14(1939)年より専業作家となる。長谷川伸主宰の「十五日の会」(後の新鷹会)に加わり研鑽を積む。『桃太郎侍』『夢介千両みやげ』などで国民的人気作家となる。昭和53(1978)年死去。