江戸川乱歩(本名:平井太郎)は、大正12(1923)年「二銭銅貨」でのデビュー以降、「D坂の殺人事件」「孤島の鬼」「陰獣」「パノラマ島奇談」などミステリー史に残る傑作を発表した作家です。翻案小説や評論なども精力的に執筆、戦前戦後にまたがり幅広い文筆活動を展開しました。
乱歩の初の小説集『二銭銅貨』は、大正14(1925)年、春陽堂の「創作探偵小説集」第一巻として刊行されました。以降、春陽堂は『屋根裏の散歩者』『孤島の鬼』など、乱歩の小説集を数多く刊行しています。
乱歩を読む~春陽堂書店の書籍
≪江戸川乱歩文庫≫
昭和29(1954)年に刊行を開始した『決定版 江戸川乱歩全集』(全16巻)は、生前の乱歩が自ら朱を入れたもので、それを底本としたのが『江戸川乱歩文庫』です。
2015年、銅版画家・多賀新さんによる幻想的でエロティックな装画はそのままに、乱歩研究家・落合教幸さんによる新しい解説と充実した旧蔵資料を掲載したリニューアル版『江戸川乱歩文庫』全30巻を刊行しました。
昭和29(1954)年に刊行を開始した『決定版 江戸川乱歩全集』(全16巻)は、生前の乱歩が自ら朱を入れたもので、それを底本としたのが『江戸川乱歩文庫』です。
2015年、銅版画家・多賀新さんによる幻想的でエロティックな装画はそのままに、乱歩研究家・落合教幸さんによる新しい解説と充実した旧蔵資料を掲載したリニューアル版『江戸川乱歩文庫』全30巻を刊行しました。
≪合作探偵小説コレクション≫
1926年、春陽堂最初の合作長篇「五階の窓」について、乱歩は「当時合作といふものが流行し始めた頃であつた」(「探偵小説十年」)と書き残しています。春陽堂では1993年、乱歩生誕100年に合わせ、乱歩の関わった作品のみを集めた「合作探偵小説シリーズ」を春陽文庫で刊行、2022年、「合作探偵コレクション」として新版を刊行開始しました。
※合作探偵小説とは…複数の作者によってひとつの作品をなす探偵小説の形態
1926年、春陽堂最初の合作長篇「五階の窓」について、乱歩は「当時合作といふものが流行し始めた頃であつた」(「探偵小説十年」)と書き残しています。春陽堂では1993年、乱歩生誕100年に合わせ、乱歩の関わった作品のみを集めた「合作探偵小説シリーズ」を春陽文庫で刊行、2022年、「合作探偵コレクション」として新版を刊行開始しました。
※合作探偵小説とは…複数の作者によってひとつの作品をなす探偵小説の形態
≪コミック 江戸川乱歩シリーズ≫
春陽堂書店が擁する「江戸川乱歩文庫」の名作から選りすぐった作品のコミカライズシリーズ。
原作を忠実にコミックにしたものから大胆なアレンジを加えたスピンオフ作品まで、多種取り揃えました。『陰獣』『目羅博士の不思議な犯罪』『偉大なる夢』の3作品に始まり、『パノラマ島奇談』『孤島の鬼』『双生児』も発売中!
春陽堂書店が擁する「江戸川乱歩文庫」の名作から選りすぐった作品のコミカライズシリーズ。
原作を忠実にコミックにしたものから大胆なアレンジを加えたスピンオフ作品まで、多種取り揃えました。『陰獣』『目羅博士の不思議な犯罪』『偉大なる夢』の3作品に始まり、『パノラマ島奇談』『孤島の鬼』『双生児』も発売中!
-関連書籍-
≪多賀 新 作品集≫
「江戸川乱歩文庫」全巻表紙を飾り、その世界観を決定づけた銅版画家・多賀新さんの圧巻の作品集です。
『多賀 新 作品集 鉛筆画の軌跡』(画像左)
『江戸川乱歩 幻想と猟奇の世界』
≪多賀 新 作品集≫
「江戸川乱歩文庫」全巻表紙を飾り、その世界観を決定づけた銅版画家・多賀新さんの圧巻の作品集です。
『多賀 新 作品集 鉛筆画の軌跡』(画像左)
『江戸川乱歩 幻想と猟奇の世界』
-関連書籍-
『乱歩の日本語』今野 真二・著
初出から現在まで50回近く出版された作品もある江戸川乱歩。その都度、編集・校訂を加えられたテキストから乱歩の「執筆時の気分」をはかることはできるのか。
日本語学者・今野真二さんがそれぞれのテキストを対照させながら検証、乱歩ならではのキーワードやオノマトペについても豊富な用例から掘りさげます。
「新青年」「キング」などで連載した初出の誌面も多数掲載。四六判全358ページの大ボリュームで読み応え十分です。
『乱歩の日本語』今野 真二・著
初出から現在まで50回近く出版された作品もある江戸川乱歩。その都度、編集・校訂を加えられたテキストから乱歩の「執筆時の気分」をはかることはできるのか。
日本語学者・今野真二さんがそれぞれのテキストを対照させながら検証、乱歩ならではのキーワードやオノマトペについても豊富な用例から掘りさげます。
「新青年」「キング」などで連載した初出の誌面も多数掲載。四六判全358ページの大ボリュームで読み応え十分です。
乱歩を読む~オウンドメディア
当メディアサイト掲載の、無料で読める江戸川乱歩関連コンテンツです。
≪乱歩講座―江戸川乱歩を読んでみる≫
「江戸川乱歩」に興味を持ったけれど、何から読んだらいいのだろう? と迷ったあなたへ、リニューアル版「江戸川乱歩文庫」全30巻の監修も担当した江戸川乱歩研究者・落合教幸さんがお届けする、おすすめ江戸川乱歩。既に乱歩に接している方々には「あるある」話満載で楽しめます。【第1回 序】
「これから乱歩について、いろいろな面から書いていこうと思う。気になった小説が有ればそこから手に取ってもらえれば良いのだが、乱歩という作家の全体像を意識しながら読んでいくと、個別の小説を味わうだけの場合とは別の面白さもあるのではないか。」(第1回前編より)
「これから乱歩について、いろいろな面から書いていこうと思う。気になった小説が有ればそこから手に取ってもらえれば良いのだが、乱歩という作家の全体像を意識しながら読んでいくと、個別の小説を味わうだけの場合とは別の面白さもあるのではないか。」(第1回前編より)
【第2回「屋根裏の散歩者」】
「視覚を中心として展開される物語が、乱歩作品の重要な特徴のひとつである。だが、見たものがすべて真実とは限らない。特に何かを通して見た場合には。いくつかの作品では、見たことが逆に混乱の起源ともなっているのだ。」(第2回後編より)
「視覚を中心として展開される物語が、乱歩作品の重要な特徴のひとつである。だが、見たものがすべて真実とは限らない。特に何かを通して見た場合には。いくつかの作品では、見たことが逆に混乱の起源ともなっているのだ。」(第2回後編より)
【第3回「魔術師」】
「江戸川乱歩の探偵小説に登場する明智小五郎は、名探偵として知られた存在だ。明智は乱歩の初期の短篇で初登場し、中期の長篇でも活躍する。そして少年物でも重要な位置を占め続けた。」(第3回前編より)
「江戸川乱歩の探偵小説に登場する明智小五郎は、名探偵として知られた存在だ。明智は乱歩の初期の短篇で初登場し、中期の長篇でも活躍する。そして少年物でも重要な位置を占め続けた。」(第3回前編より)
【第4回「パノラマ島奇談」】
「その頃『新青年』編集部には、横溝正史が在籍している。(中略)『新青年』からやや離れていく格好になっていた乱歩に、横溝は原稿を依頼した。そうして生まれたのが「パノラマ島奇談」だった。」(第4回前編より)
「その頃『新青年』編集部には、横溝正史が在籍している。(中略)『新青年』からやや離れていく格好になっていた乱歩に、横溝は原稿を依頼した。そうして生まれたのが「パノラマ島奇談」だった。」(第4回前編より)
【第5回「人間豹」】
「犯罪者の動機については、長期にわたって探偵小説の重要な問題となっていく。乱歩にとっても犯罪の動機は重要であることは言うまでもないが、極端であること、過剰であることが乱歩の描く多くの犯罪者の特徴だと言えるだろう。」(第5回後編より)
「犯罪者の動機については、長期にわたって探偵小説の重要な問題となっていく。乱歩にとっても犯罪の動機は重要であることは言うまでもないが、極端であること、過剰であることが乱歩の描く多くの犯罪者の特徴だと言えるだろう。」(第5回後編より)
【第6回「陰獣」】
「「陰獣」は、ある作家が事件を回想するかたちで書かれている。こうした枠を乱歩はしばしば使用しているが、ここでも語り手の寒川という作家と、謎の作家である大江春泥の対比を簡潔に提示するのに有効に使われているといえるだろう。」(第6回後編より)
「「陰獣」は、ある作家が事件を回想するかたちで書かれている。こうした枠を乱歩はしばしば使用しているが、ここでも語り手の寒川という作家と、謎の作家である大江春泥の対比を簡潔に提示するのに有効に使われているといえるだろう。」(第6回後編より)
≪テーマ別オススメ3冊―江戸川乱歩を読んでみる≫
こちらでは、作品別ではなくテーマ別に、乱歩を知るのにうってつけのオススメ作品を3冊ずつご紹介。
≪江戸川乱歩文庫書評―江戸川乱歩を読んでみる≫
リニューアル版「江戸川乱歩文庫」全30巻の中から15巻分の重厚な書評もご用意しています。
┃プロフィール
江戸川乱歩(1894-1965)
明治27年10月21日三重県に生まれる。早稲田大学で経済学を学びながらポーやドイルを読む。様々な職業を経験した後、大正12年、雑誌「新青年」に「二銭銅貨」でデビュー。昭和2年までに「D坂の殺人事件」「人間椅子」「パノラマ島奇談」などを、その後休筆を挟んで、「陰獣」「芋虫」「孤島の鬼」などを発表した。昭和4年の「蜘蛛男」以降、「魔術師」「黄金仮面」「黒蜥蜴」など、娯楽雑誌に長編を連載。昭和11年からは、「怪人二十面相」が『少年倶楽部』連載され始める。少年探偵シリーズは晩年まで続いた。昭和22年に探偵作家クラブ結成されると、初代会長に就任する。昭和29年には乱歩賞が制定され、昭和38年には、日本推理作家協会が認可、理事長に就任した。昭和40年7月28日死去。
明治27年10月21日三重県に生まれる。早稲田大学で経済学を学びながらポーやドイルを読む。様々な職業を経験した後、大正12年、雑誌「新青年」に「二銭銅貨」でデビュー。昭和2年までに「D坂の殺人事件」「人間椅子」「パノラマ島奇談」などを、その後休筆を挟んで、「陰獣」「芋虫」「孤島の鬼」などを発表した。昭和4年の「蜘蛛男」以降、「魔術師」「黄金仮面」「黒蜥蜴」など、娯楽雑誌に長編を連載。昭和11年からは、「怪人二十面相」が『少年倶楽部』連載され始める。少年探偵シリーズは晩年まで続いた。昭和22年に探偵作家クラブ結成されると、初代会長に就任する。昭和29年には乱歩賞が制定され、昭和38年には、日本推理作家協会が認可、理事長に就任した。昭和40年7月28日死去。