馬鹿といわれる人ほど可愛ゆうおざんす──《江戸一の名花》花魁・薫(「傾城将棋」より)
華やかな吉原に生まれた六つの妖しい物語

戦後、数多の大衆小説を刊行し、池波正太郎・司馬遼太郎生誕100年を前に復刊を果たした≪春陽文庫≫。
2023年7月の新刊、山田風太郎『女人ありんすこく伝奇』のご紹介です。

『女人国伝奇』

『女人国伝奇』カバーイラスト

江戸・吉原。かの大通人・蜀山人こと太田南畝が絶賛し江戸一の名花と謳われた松葉谷の花魁・薫。そのなじみ客であった日本橋の大問屋の次男坊・小七は、他の女郎に手を出し不義理のかどで罰せられ監禁されていたが、その弟を救いに兄・関之助が吉原にやってきた。野暮で方物の兄に免じて小七をゆるした薫だったが、あることから、花魁の全てを賭けて関之助との駆け引きがはじまった──
稀代の語り手・山田風太郎が吉原の華やかで怪しい郭に交錯する男女の姿態を描く「傾城将棋」「剣鬼と遊女」「ゆびきり地獄」「蕭蕭しょうしょうくるわ噺」「怪異投込寺」「夜ざくら大名」全六編を収録。
『女人国伝奇』(春陽堂書店)山田風太郎・著
本のサイズ:A6判(文庫判)
発行日:2023/7/25
ISBN:978-3-394-90453-3
価格:1,210 円(税込)

著者紹介
山田 風太郎(やまだ・ふうたろう)
大正11(1922)年、兵庫県に生まれる。父母ともに代々医者の家系で本人も東京医科大学を卒業。昭和23(1948)年『眼中の悪魔』で第2回探偵作家クラブ賞を受賞。昭和33(1958)年に発表した『甲賀忍法帖』を皮切りに忍法帖もので流行作家となる。伝奇小説、推理小説、時代小説など多種多様な小説を書き、戦後日本を代表する小説家の一人である。『魔界転生』『忍法帖シリーズ』では、奇想天外なアイデアを用いた作家として知られている。平成13(2001)年死去。