横溝正史時代小説コレクション第三弾!
かつて戦場に活躍した老旗本が泰平に馴れた武士の堕落を嘆き、
往時を語り聞かせる傑作短編集。

戦後、数多の大衆小説を刊行し、池波正太郎・司馬遼太郎生誕100年を前に復刊を果たした≪春陽文庫≫。
2023年10月の新刊、横溝正史『矢柄頓兵衛戦場噺』のご紹介です。

『矢柄頓兵衛戦場噺』

『矢柄頓兵衛戦場噺』表紙イラスト

なあ、皆の者、よく聞けよ──。
御年七十七歳、八十余名の子や孫たちに囲まれて幸せ一杯の旗本・矢柄やがら頓兵衛とんべえ翁は、若い頃から主君・徳川家康に従い戦場を駆け巡った歴戦の猛者。しかし時は寛永十一年、戦国時代はすでに遠い泰平の世……。武士が平和に馴れ堕落してゆく様を嘆いた頓兵衛翁は、毎月一回一門を集めて自らの体験を語り聞かせることとなった。初陣のこと、戦場のこと、結婚のこと……往時の様子や体験を、厳しくも時にユーモアを交えて生き生きと語り伝える頓兵衛翁。その語り口と人柄につい引き込まれ読み耽ってしまう傑作短編集!

(収録話:「はだか武士道」「阿呆武士道」「縮尻武士道」「めおと武士道」「カチカチ武士道」「捕物武士道」「秘薬武士道」「籠城武士道」「使者武士道」「相撲武士道」「仲人武士道」「落城秘話」)

『矢柄頓兵衛戦場噺』(春陽堂書店)横溝正史・著
本のサイズ:A6判(文庫判)
発行日:2023/10/25
ISBN:978-4-394-90460-1
価格:1,210 円(税込)
著者紹介
横溝 正史(よこみぞ・せいし)
明治35(1902)年、神戸に生まれる。大正期より執筆活動をはじめ、雑誌「新青年」の編集長として活躍。戦後まもなく土俗的な日本の風土に根差した長編本格探偵小説『本陣殺人事件』『蝶々殺人事件』を矢継ぎ早に発表。以後、名探偵金田一耕助を主人公とした『八つ墓村』『獄門島』『犬神家の一族』などの名作群によって、探偵小説界の第一人者となる。「人形佐七捕物帳」シリーズを代表作として時代小説にも健筆を振るった。昭和56(1981)年死去。