「わけあって、先を急いでおりますんで」
 ──無口で孤独な渡世人たち、それぞれの生き方。

戦後、数多の大衆小説を刊行し、池波正太郎・司馬遼太郎生誕100年を前に復刊を果たした≪春陽文庫≫。
2023年5月の新刊、笹沢佐保『見かえり峠の落日』のご紹介です。

『見かえり峠の落日』


時は嘉永、数多の伝説を生んだやくざ全盛時代は過ぎ、幕府の取締りが強化されていた頃。一人の渡世人が街道を西へ急いでいた。捕縛された国定忠次を江戸に護送する行列に目もくれず、上州下仁田へ急ぐ男の目指すものとは──
表題作「見かえり峠の落日」のほか、三千両を盗んだとして突然襲ってきた六人の渡世人を一瞬で倒した無表情の男──第65回直木賞候補作になった「中山峠に地獄をみた」など、寡黙で孤独な渡世人たちそれぞれの生き様を描き、後の大ヒットシリーズ『木枯し紋次郎』に繋がる笹沢《新・股旅ワールド》5作品を収録!
『見かえり峠の落日』(春陽堂書店)笹沢左保・著
本のサイズ:A6判(文庫判)
発行日:2023/5/26
ISBN:978-4-394-90446-5
価格:1,100 円(税込)

著者紹介
笹沢 佐保(ささざわ・さほ)
昭和5(1930)年、神奈川県横浜市に生まれる。子どもの頃より探偵小説を愛読する。昭和27(1952)年、郵政省簡易保険局に勤務。初長編『招かれざる客』が江戸川乱歩賞次席になり、本格的な小説家デビューを果たす。昭和36(1961)年、『人喰い』で第14回日本探偵作家クラブ賞を受賞。昭和45(1970)年『見返り峠の落日』で時代小説に進出。翌年、「木枯らし紋次郎」シリーズがテレビドラマ化され、一大ブームを巻き起こす。推理小説、時代小説の両方で活躍。平成14(2002)年死去。