死体の両眼には、銅銭が二枚、傍らには、覆面の殺人鬼──

江戸で起きる奇怪な連続殺人事件。
偶然出会った若い二人は惹かれあうも運命の奔流に引き裂かれていく……。
謎と激情が交錯する日本伝奇小説の神髄!

戦後、数多の大衆小説を刊行し、池波正太郎・司馬遼太郎生誕100年を前に復刊を果たした≪春陽文庫≫。
2023年8月の新刊、角田喜久雄『髑髏どくろ銭』のご紹介です。

『髑髏銭』

『髑髏銭』旧版表紙

時は元禄、五代将軍綱吉の頃。江戸市中では奇妙な殺人事件が続いていた。殺された者たちは共通して、その両眼に銅銭が乗せられており、現場近くでは奇怪な覆面の剣士・ぜに鬼灯ほおずきが目撃されるという。ある梅雨空の薄暗い日、貧乏浪士の娘・お小夜は、突然家に逃げ込んできたやくざ者に懇願されて荷物を届けに出かけるが、訪ねてみると相手の男はすでに斬られて死んでおり、その両眼には銅銭が乗っている! そして忽然と現れた銭鬼灯……。古銭をめぐる闘い、次第に明らかになる謎、父祖の怨みと熱い志、深い恋──。
重厚にして疾走感あふれる日本伝奇小説の神髄!

『髑髏銭』(上)(春陽堂書店)角田喜久雄・著
本のサイズ:A6判(文庫判)
発行日:2023/8/28
ISBN:978-4-394-90455-7
価格:1,210 円(税込)

『髑髏銭』(下)(春陽堂書店)角田喜久雄・著
本のサイズ:A6判(文庫判)
発行日:2023/ 8/28
ISBN:978-4-394-90456-4
価格:1,210 円(税込)
著者紹介
角田 喜久雄(つのだ・きくお)
明治39(1906)年、横須賀市に生まれる。伝奇時代小説の三部作として『妖棋伝』『髑髏銭』『風雲将棋谷』がよく知られているが、作家としての出発が第一回サンデー毎日大衆文芸賞に『発狂』が入選作となったことからも、推理小説作家としても活躍し『高木家の惨劇』『奇跡のボレロ』など目覚ましいものがあった。時代小説では『緋牡丹盗賊』『半九郎闇日記』『花太郎呪文』など、時代小説・推理小説と多くの傑作を遺している。平成6(1994)年死去。