地獄から還った男──宿命の闘い

戦後、数多の大衆小説を刊行し、池波正太郎・司馬遼太郎生誕100年を前に復刊を果たした≪春陽文庫≫。
2023年6月の新刊、柴田錬三郎『異常の門』のご紹介です。

『異常の門』

異常の門(上)表紙イラスト

十月初亥の日、江戸城では泰平の世に往時を偲ぶ習わしとして大篝火を焚いたが、同日に浜御殿では、生贄の女性を焼くという忌まわしい儀式が行われていた。その地下の秘密監獄に二年にわたり監禁されていた元公儀隠密「地の七」と呼ばれた男は、監獄を脱出し、夢殿転(ゆめどの・うたた)として自由の身となった――。幕府が血眼になって追う「大奥帖」とは? そして対になるという「天皇帖」とは? 二帖の争奪をめぐる陰謀が渦巻くなか、闘う宿命の道を歩む転は、やがて自らの真実にも対峙していく……。凄腕の剣豪浪人・夢殿転の激闘を描くアクション巨編。

『異常の門』上巻(春陽堂書店)柴田錬三郎・著
本のサイズ:A6判(文庫判)
発行日:2024/6/19
ISBN:978-4-394-90485-4
価格:1,045 円(税込)

『異常の門』下巻(春陽堂書店)柴田錬三郎・著
本のサイズ:A6判(文庫判)
発行日:2024/6/19
ISBN:978-4-394-90486-1
価格:1,045 円(税込)
著者紹介
柴田 錬三郎(しばた・れんざぶろう)
大正6(1917)年、岡山県に生まれる。慶應大学在学中、『十円紙幣』を「三田文学」に発表し注目される。昭和26年「三田文学」に発表した『イエスの裔』で第26回直木賞を受賞。『眠狂四郎無頼控』は圧倒的な人気を獲得し、円月殺法の眠狂四郎は混血の剣豪浪人として、戦後の時代小説を代表するユニークな存在となった。シバレン(柴錬)という通称でも名高い。
代表作に『眠狂四郎』『赤い影法師』『御家人斬九郎』『水滸伝』『徳川太平記』など多くあり、戦国・幕末を扱った作品が多く、剣客ブームを巻き起こした。