「血の雨、火の海、剣の山、鬼の羅刹の群れなのじゃ」
ぼろを来た怪しい女が、語りかけてきた。
──江戸に渦巻く巨大な陰謀と駆け引き!

戦後、数多の大衆小説を刊行し、池波正太郎・司馬遼太郎生誕100年を前に復刊を果たした≪春陽文庫≫。
2023年4月刊行、高木彬光『妖説地獄谷』のご紹介です。

『妖説地獄谷』

(春陽文庫『妖説地獄谷』旧版表紙)

時は天保13年、老中水野忠邦による天保の改革で厳しい緊縮令が敷かれるなか、江戸の人々は抑圧的な日々を暮らしていた。ある春の宵、十六夜の月を見ながら歩いていた旗本の次男坊、早乙女さおとめ主計かずえは、高名な女侠、人魚のお富と出会う。お富と奇遇にも何度も行き逢うなかで深く惹かれていく主計だったが、それは先の知れぬ巨大な宿命劇の始まりであった。次々と現われる謎を追いかけるうちに見えてきたのは、この江戸に渦巻く巨大な陰謀の姿……そしてその渦に巻き込まれ必死にもがく己の姿だった……。
推理小説界の巨匠、高木彬光が贈る一大伝奇時代長編の傑作!
『妖説地獄谷』上巻(春陽堂書店)高木彬光・著
本のサイズ:A6判(文庫判)
発行日:2023/4/18
ISBN:978-4-394-90439-7
価格:1,210 円(税込)

『妖説地獄谷』下巻(春陽堂書店)高木彬光・著
本のサイズ:A6判(文庫判)
発行日:2023/4/18
ISBN:978-4-394-90440-3
価格:1,210 円(税込)

著者紹介
高木 彬光(たかぎ・あきみつ)
大正9(1920)年、青森県で四代続いた医者の家系に生まれた。京大卒業後、小説家を志し創作活動を始める。『刺青殺人事件』が江戸川乱歩に認められ、推理作家としてデビュー。昭和25(1950)年『能面殺人事件』で第3回探偵クラブ賞を受賞。探偵神津恭介シリーズ、検事霧島三郎シリーズなどの推理小説が多数ある。一方、時代小説、SF小説、少女向け小説など多数の作品を遺している。平成7(1995)年74歳で亡くなる。