「お侍様、あなたまでが……ふるえておいでなされます」
深紅の布に見たものは、失踪した父の名……
三島由紀夫が激賞した伝奇小説の傑作!

戦後、数多の大衆小説を刊行し、池波正太郎・司馬遼太郎生誕100年を前に復刊を果たした≪春陽文庫≫。
2023年5月の新刊、国枝史郎『神州纐纈城しんしゅうこうけつじょう』のご紹介です。

『神州纐纈城』


ある春の夜、散歩していた武田信玄家臣・土屋庄三郎は、布売りの老人から、燃え立つばかりの紅い布を買った。布を月光に照らして見えたものは、4歳の時に失踪した父・土屋庄八郎の名……。紅布に誘われて迷い込んだ富士の裾野で見た人間狩り集団、そのまとう経帷子の色が自分の紅布と同じ色と気付いた庄三郎は、そこからさらに怪異の世界に入り込んでいく。神秘的な教団、超人的な人々、本栖湖に浮かぶ水城「纐纈城」……。
三島由紀夫がその文章の見事さや現代性、芸術性を賞賛した伝奇小説の傑作!
『神州纐纈城』(春陽堂書店)国枝史郎・著
本のサイズ:A6判(文庫判)
発行日:2023/5/26
ISBN:978-4-394-90441-1
価格:1,375 円(税込)

著者紹介
国枝 史郎(くにえだ・しろう)
明治20(1887)年長野県に生まれる。早稲田大学在学中より演劇運動に参加。大学中退後、大阪朝日新聞社の演劇記者、松竹座の座付き作者となる。病を患い、長野県に戻り「講談倶楽部」「少年倶楽部」などに執筆、怪奇、幻想、耽美的な伝奇小説の第一人者となる。昭和18(1943)年死去。
『神州纐纈城』は昭和43(1968)年復刊され、三島由紀夫に激賞された。