江戸時代の武士社会における一大テーマ「仇討ち」にちなんだ傑作短編七選!

戦後、数多の大衆小説を刊行し、池波正太郎・司馬遼太郎生誕100年を前に復刊を果たした≪春陽文庫≫。
復刊第二弾は、池波正太郎『仇討ち物語』です。

『仇討ち物語』

(春陽文庫『仇討ち』旧版表紙)

「──〔かたき討ち〕の物語はいくつもある。……逃げるほうも苦しいが、追うほうも苦しい。……二十年、三十年かかってやっとかたきを見つけ、首を討ったときには、自分も旅の空で人生の大半を送り、白髪の老人になってしまった、ということもある。……一生かかって見つからぬこともある。見つけても、反対に、こっちが斬られてしまうこともある。いわゆる〔返り討ち〕だ」(「あばた又十郎」より)。
弱虫藩士の仇討ち、何十年も出会えない男、武士の道を突き詰める志、返り討ちしようと待ち構える男、世に潜み逃げ続ける男たち……。江戸時代の武士社会における一大テーマ「仇討ち」に因んだ傑作短編7選。
【収録作品】
「運の矢」「火消しの殿」「うんぷてんぷ」「あばた又十郎」「荒木又右衛門」「よろいびつ」「かたきうち」
『仇討ち物語』(春陽堂書店)池波正太郎・著
本のサイズ:A6判(文庫判)/288頁
発行日:2022/10/19
ISBN:978-4-394-90424-3
価格:924 円(税込)

著者紹介
池波 正太郎(いけなみ・しょうたろう)
大正12(1923)年、東京・浅草に生まれる。昭和20年、鳥取の美保航空基地で終戦を迎える。25歳の時、作家・長谷川伸に師事し、脚本家になることを決意。37歳、「錯乱」で第43回直木賞を受賞する。池波正太郎の時代小説には、武将もの、剣豪もの、忍者もの、仇討ちもの、世話ものなど多種多様ある。池波人気を決定づけたシリーズである『鬼平犯科帳』『剣客商売』など江戸の市井人が描き出す人間模様を巧みにとらえることは池波作品の独壇場である。