猫がりゆうでてがみをあける

ちっちゃいねこのおもちゃたくさんいれたからてがみをあけてほしいんだけど、うえからさわってごらん、ごろごろしてるでしょ、それぜんぶ猫なの。

と言われて、つんでいた束から、てがみをとりだしてきて、封のうえからなぞってみる。たしかに封のあちこちがごろごろしている。これぜんぶ猫なのか。

これぜんぶ猫なの?

うんぜんぶ猫なの。

あけないと、とおもって、てがみを開封する。ちょびっとだけ猫の半身がでる。あとから、波のように、どばっとちびっちゃいねこたちがでてくる。

なんで猫のおもちゃなんかてがみのなかに?

なんか時間をかけて猫が運ばれていくのもいいかなとおもって。

郵便屋さんを猫の運び屋にしてるよ、あんた。

あとからあとから猫がでてくる。あんがい、猫つめこめたんだなあとおもう。猫のふくろづめのようなものが、うちにずっと、置かれてたんだ。ぼくが、なんだか、うろうろしたり、うつろになったり、泣いたり、電話をかけて安らいでいるあいだも。

この記事を書いた人
yagimotoyasufuku
柳本々々(やぎもと・もともと)1982年、新潟県生まれ 川柳作家
安福 望(やすふく・のぞみ)1981年、兵庫県生まれ イラストレーター