言い方をまちがえ花が増えていく
『今井杏太郎全句集』をもらった。読んでみると、世界ってこんなに微妙なグラデーションがあったんだとおどろかされる。
老人と老人のゐる寒さかな 今井杏太郎
老人と老人のあいだのわずかなちがい。それにきづいている。
この『全句集』の栞文で、俳人の鴇田智哉さんがこんなふうに書いている。
言葉、というか、言葉が示す概念に、杏太郎はいつも興味があった。……言葉をとおして、何かについて考えること
「老人」ということばの奥にまだ「老人」がいる。俳句はそのことばの奥のちょびっとずつのちがいの世界にきづく。