雲の亡霊(やさしいほうの)
『ロード・オブ・ザ・リング』で亡霊たちが助けにきてくれるシーンがあって、へえいいなあ、と思った。亡霊になっても、やさしさ発揮できんだなあ、と。もし亡霊になるなら、やさしい亡霊になりたいよなあ、と思う。さいきんどうなの、っていきてるひとの話をちゃんとさいごまで聞いてあげる。そろそろ陽がのぼるよなあ、なんて顔にもださない。あいての話がだんだん佳境にはいるころ、わたしに少しずつ陽のひかりがあたって、わたしはやさしいまま、すこしずつ、きえてゆく。やさしいとしぬことがあるなあ、にかいめの死だなあ、とおもいながら。きえる。